魔珠 第12章 最終交渉(10) 魔術師ヌビス9 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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それに里は。多くの魔珠を持つ里はどうなる。
 何をしようとしているんだ、この人は。
 スイは言葉を失った。
「世界は終わる。私と共にな」
「ばかな。いったいどれだけの人が犠牲になると思っているんだ」
「それくらいのものが懸かっていないとやりがいがないだろう」
 キリトの憤りをヌビスが踏みにじる。
「さあ、レヴィリン博士にこのからくりが解けるかな。楽しみだ。近くで見届けることができないのは残念だが、レヴィリン博士とこのような形で決着をつけることができて私は満足だ。答えは私の口からは聞き出せんよ」
 はっと嫌な予感がしてスイは剣先を胸に引き寄せて刺されないように力を込めた。しかし、ヌビスは突きつけられていた剣には目もくれなかった。胸から赤い光がぱっと溢れた。まぶしさに一瞬目を閉じたが、開けたときにはもう光は消えていた。
 そして、ヌビスは力なく床に倒れていた。
 スイは驚いた表情のまま、慌ててヌビスの脈を調べる。
「まさか」
 駆け寄っていたキリトにスイは首を横に振った。
 周りにいた魔術師や兵士たちも何も知らされていなかったらしく、ただ驚きの表情を浮かべて立ち尽くしていた。
 スイはヌビスの黒いローブを襟元から強く引っ張った。胸がはだけ、赤い血痕があらわになる。血痕は美しい魔法陣のような模様を描いていた。
「呪術か」
 スイは呟いた。
「自身が最強の魔術師であることを証明するため、レヴィリン博士より優れた魔術師であることを証明するために多くの人の命を懸けた魔術を展開し、解を自白させられないように自ら命を絶った、か」
 すると、魔術師の一人がふらふらと歩み寄ってきた。動かなくなったヌビスの横に崩れるように座り込むと、ヌビスの顔をのぞき込んだ。
「そんな」
 今まで隠れていてよく見えていなかった顔がフードの下からわずかにうかがえた。顔面蒼白で唇が震えている若い男の顔だった。
「こんな形で死んでしまうなんて」

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