魔珠 第13章 光の柱(6) 突きつけられた難題2  忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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そんなことができるのか。訊こうとしていたカミッロはレヴィリンの様子を見てやめた。おそらくレヴィリンもそれを考えているに違いない。
「確かに魔珠の粒子同士が干渉するという現象は魔術兵器などでみられる。だが、世界規模の粒子同士の干渉となると」
「ヌビスはそのからくりを自白しないよう自害しました。その際、身を隠していたヌビスの子であると名乗り出たアラバスという若い魔術師が王位を継ぐ意思を表明し、この事態への協力を申し出てくれました。今、詳しい話をキリトが残って聞いています」
「なるほど」
 レヴィリンは一度思考を中断した。
「つまり、私がこのからくりを時間内に解かなければ、世界は壊滅的な状況になるということだな」
 レヴィリンは立ち上がってドアまで歩いていって開けた。
「博士」
 カミッロが呼び止めた。
「仕事ができたら、知らせてください。すぐに動けるようにしておきますから」
「頼んだよ」
 そう言い残すと、レヴィリンは外に出ていった。
「では、この時間を利用して詳しい報告を聞こうか」
 カミッロに促されてスイは頷いた。
 報告が終わると、スイは甲板に出た。レヴィリンの姿はなかった。横に着けたままの船にいるグラファドに声をかける。
「博士は?」
「この船からボートを出してもらって自分の船の方に行った。そろそろ分析結果が出ているとか何とか言ってたなあ」
 そういえば、スイが博士の船に行ったときも、すでに魔術師たちが光の柱を観測しながら、慌ただしく動き回っていて、紙に何か難しい数式を書いて議論したりしていた気がする。おそらくまずは光源の魔力を分析して、いかなる方法であの現象が実現可能なのかを考えようという算段なのだろう。
 スイはグラファドの船に飛び移った。
 グラファドとすれ違いざま、耳元で小声でささやいた。
「博士が戻ってきたら教えてくれ」
 そのままスイは鍵を受け取って階段を下り、奥の船室に向かった。
「待ってたよ」
 ドアを閉めると、船長の椅子に座っていたメノウがにっこり笑った。

次回更新予定日:2021/01/30

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