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「行くぞ、スイ」
かなり楽になったはずだが、すぐに立ち上がれるだろうか。心配だったが、攻撃が始まった以上、選択肢はなかった。スイはキリトの意図を一瞬で理解し、毅然とした表情で頷いて素速く行動に移った。
起き上がって駆け出したスイに一直線に向かって撃たれてくる攻撃をキリトが盾になりながら守る。身体に当たって軽く痛みが走る。
キリト。
キリトが横で顔をしかめたのが見えたが、ここで止まればキリトの受ける攻撃の数が増えるだけだ。一刻も早く剣を拾わなければ。キリトを信じて走り続ける。
キリトが素速く身体に損傷がないか調べる。どこにも異状はない。
ちゃんと魔力を集められている。全身に満遍なく行き渡っている。
そのままスイをかばいながら横を走る。
「この程度の魔力では効かぬか」
ヌビスが大量の魔力をその手に集め始めた。
その魔力が放たれたのは、スイが青竜を拾い上げたその瞬間だった。スイはキリトの前に躍り出て剣を前に突き出して、その魔力を吸収していく。強大な魔力にも前傾姿勢を崩さずに粘ったが、その圧力で踏ん張っていた足がゆっくりと後方に滑り出した。
「大丈夫。いける」
キリトがスイの背中を支えた。
残りの魔力がすっと一気に青竜に入ってきてキリトがバランスを崩す。スイも大きく後ろにのけぞったが、すぐに剣を振り上げながら前のめりになり、そのままヌビスの方に駆けていく。スイが大量の魔力を吸収し青く輝く剣を斜め上から振り下ろすと、ヌビスの前に光の盾が現れて剣先と衝突し、火花が散った。
スイが指先に力を入れると、青竜は眩しいくらいに強く輝いた。
光の盾が砕け散った。
「何という魔力だ」
操っていた強い魔力に反動で突き飛ばされたヌビスが呆然とする。スイはヌビスの胸に青竜を突きつけて言った。
「あなたの魔力です。あなたが放った魔力を吸収して盾にぶつけただけです」
「そうか。そうだったか」
ヌビスが狂ったように笑い出した。スイは青竜を胸に突きつけたまま冷ややかな目でヌビスを見た。
笑いが止まると、ヌビスはスイをにらみつけた。
「殺さないのか?」
「陛下もお気づきでしょう。もう殺されています」
表情を変えずにスイは唇だけを動かした。
次回更新予定日:2020/12/05
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かなり楽になったはずだが、すぐに立ち上がれるだろうか。心配だったが、攻撃が始まった以上、選択肢はなかった。スイはキリトの意図を一瞬で理解し、毅然とした表情で頷いて素速く行動に移った。
起き上がって駆け出したスイに一直線に向かって撃たれてくる攻撃をキリトが盾になりながら守る。身体に当たって軽く痛みが走る。
キリト。
キリトが横で顔をしかめたのが見えたが、ここで止まればキリトの受ける攻撃の数が増えるだけだ。一刻も早く剣を拾わなければ。キリトを信じて走り続ける。
キリトが素速く身体に損傷がないか調べる。どこにも異状はない。
ちゃんと魔力を集められている。全身に満遍なく行き渡っている。
そのままスイをかばいながら横を走る。
「この程度の魔力では効かぬか」
ヌビスが大量の魔力をその手に集め始めた。
その魔力が放たれたのは、スイが青竜を拾い上げたその瞬間だった。スイはキリトの前に躍り出て剣を前に突き出して、その魔力を吸収していく。強大な魔力にも前傾姿勢を崩さずに粘ったが、その圧力で踏ん張っていた足がゆっくりと後方に滑り出した。
「大丈夫。いける」
キリトがスイの背中を支えた。
残りの魔力がすっと一気に青竜に入ってきてキリトがバランスを崩す。スイも大きく後ろにのけぞったが、すぐに剣を振り上げながら前のめりになり、そのままヌビスの方に駆けていく。スイが大量の魔力を吸収し青く輝く剣を斜め上から振り下ろすと、ヌビスの前に光の盾が現れて剣先と衝突し、火花が散った。
スイが指先に力を入れると、青竜は眩しいくらいに強く輝いた。
光の盾が砕け散った。
「何という魔力だ」
操っていた強い魔力に反動で突き飛ばされたヌビスが呆然とする。スイはヌビスの胸に青竜を突きつけて言った。
「あなたの魔力です。あなたが放った魔力を吸収して盾にぶつけただけです」
「そうか。そうだったか」
ヌビスが狂ったように笑い出した。スイは青竜を胸に突きつけたまま冷ややかな目でヌビスを見た。
笑いが止まると、ヌビスはスイをにらみつけた。
「殺さないのか?」
「陛下もお気づきでしょう。もう殺されています」
表情を変えずにスイは唇だけを動かした。
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