魔珠 第12章 最終交渉(5) 魔術師ヌビス4 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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事実、スイは斧を斬るなり、ヌビスの首を狙った。だが、刃がヌビスの首にあたる寸前でヌビスの魔術が発動し、刃の動きを止められた。
「煽りおる」
 ヌビスはかっと目を見開いた。
「そんなに私の邪魔をするのが楽しいか」
 スイは微動だにしなかった。すると、ヌビスは気味の悪い笑いを口元に浮かべた。
「私は楽しいぞ。お前の苦しむ姿を見るのが」
 ヌビスが手をスイの胸目がけてかざすのを見てとっさに剣で防御する。こう来ると思っていた。呪いを発動させるつもりだ。
「ほう。面白い剣だな」
 自分の放った魔力が剣に弾き返されたのを見てヌビスの目が輝く。
 ヌビスはスイから目を離さずに一歩後ろに下がると、床の方に手をかざした。すると、床に魔法陣が浮かび上がった。ヌビスが魔法陣に魔力を注ぐと、魔法陣は赤く光り、次の瞬間辺りが暗闇に閉ざされた。背景は真っ暗なのにその場にいる人の姿やスイの所持している剣は白昼と同じようにくっきり浮かび上がっている。
 辺りから呻き声がした。キリトと護衛の兵士たちが四方八方に吹き飛ばされていた。キリトたちの前に光の壁が現れ、すぐに見えなくなる。おそらく結界だろう。
「スイ」
 キリトが見えない壁を叩いている姿が後方に見えた。スイはヌビスの方に向き直って剣を構えた。
「どういうつもりです?」
 ヌビスはにやりと笑った。
「その剣に興味がある。私と勝負しろ」
「遊びで勝負するつもりはありませんよ」
 凜とした態度でスイは言い放った。
「無論だ。これは遊びなどではない。ここはそのために用意した異空間だ。どちらかが倒れるまでは何人たりともここから出ることはできない」
「つまり。あなたを倒してしまっても構わないということですね」
 スイが飛び上がると同時にヌビスも魔法を放った。スイは刃の軌道を変え、魔法をヌビスの方に弾いたが、ヌビスもすぐに新たな魔法を繰り出し、跳ね返ってきた攻撃にぶつけて爆発させた。
「いや、面白い。面白いぞ」
 ヌビスが一撃目とは比べものにならないほどの魔力を一瞬で集め、スイ目がけて放つ。先ほどと同じように剣を前に出して弾こうとしたが、重くて受け止めるのもままならない。スイは剣の角度を変えて攻撃を受け流し交わす選択をした。後方の高い位置で凄まじい爆発音がした。冷や汗が流れる。

次回更新予定日:2020/11/14

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