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採掘者ギルドと冒険者ギルドに立ち寄ったが、大した情報は得られなかった。当然だ。誰一人生還していないのだから。目撃者が存在しないのだ。
「厄介だなあ」
呟きながら、鉱山に入る。中には灯を点すための燭台のようなところが何ヶ所もあったが、万が一に備えて今日はここで作業をしないようにギルドにお願いしている。グレンは人差し指を立ててくるりと宙に円を描いた。ふわりと小さな光が浮かぶ。
グレンは辺りを見回した。壁面が所々青く輝いている。
「あれが鉱石?」
グレンは近づいてみた。よく見ると、他の色の鉱石も少し混じっている。
しばらく進むと、だんだん燭台もまばらになり、最終的にはなくなった。壁面の鉱石の種類も入口付近とは違うものになってきている。
「少し、準備しておいた方が良さそうだね」
グレンが目を閉じると、全身が青白い光に包まれた。光はすぐに消えた。変幻自在の弱い結界のようなもので、何でも弾いてくれるわけではないが、守備力を少しだけ高めてくれる。どのような攻撃が来るか分からないので、取りあえず用心だ。
「君にも釘刺されたしな、エストル」
胸に手を当ててくすっと笑う。
グレンは鞘から剣を抜いた。
何となく空気がよどんできたような気がする。かすかに血の臭いがしているような気もする。ぽたぽたと水滴の音があちらこちらから木霊する。湿気も少し高くなっているだろうか。グレンは警戒を強めた。その瞬間だった。凄まじいスピードで何かに体を縛りつけられた。反射的に攻撃魔法で応戦しようと意識を集中させようとしたが、先に右腕を針のようなもので刺された。一瞬意識が飛んだが、先ほど張っておいた結界のおかげで何とか取り留めた。だが、刺された右腕には感覚がない。
「毒、か?」
とっさに解毒を試みる。だが、右腕から放たれた光は力なく消えた。麻痺した腕ではうまく魔力が繰り出せないようだ。
「フリーズ!」
朦朧としている意識の中に飛び込んできたのは聞き覚えのある声と、凍えるような強い冷気だ。そして、体に突き刺さる何本もの針。
もっと、自分のこと、大切にしてくれないか?
エストルの言葉が蘇って何よりもまず解毒の魔法を発動する。だが、刺された箇所はやはりすでに麻痺しており、完全に毒を食い止めることはできなかった。それでも、時間は容赦してくれなかった。背後でぶちっと鈍い音がして、液体が飛び散ったと思うと、体が落下を始めたのだった。結界を張って衝撃を和らげたつもりだったが、それでも地面に体が打ちつけられて跳ね返った。
「グレン!」
若干ぼやけていたが、見上げると、そこにはやはり見覚えのある顔があった。
次回更新予定日:2015/12/05
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「厄介だなあ」
呟きながら、鉱山に入る。中には灯を点すための燭台のようなところが何ヶ所もあったが、万が一に備えて今日はここで作業をしないようにギルドにお願いしている。グレンは人差し指を立ててくるりと宙に円を描いた。ふわりと小さな光が浮かぶ。
グレンは辺りを見回した。壁面が所々青く輝いている。
「あれが鉱石?」
グレンは近づいてみた。よく見ると、他の色の鉱石も少し混じっている。
しばらく進むと、だんだん燭台もまばらになり、最終的にはなくなった。壁面の鉱石の種類も入口付近とは違うものになってきている。
「少し、準備しておいた方が良さそうだね」
グレンが目を閉じると、全身が青白い光に包まれた。光はすぐに消えた。変幻自在の弱い結界のようなもので、何でも弾いてくれるわけではないが、守備力を少しだけ高めてくれる。どのような攻撃が来るか分からないので、取りあえず用心だ。
「君にも釘刺されたしな、エストル」
胸に手を当ててくすっと笑う。
グレンは鞘から剣を抜いた。
何となく空気がよどんできたような気がする。かすかに血の臭いがしているような気もする。ぽたぽたと水滴の音があちらこちらから木霊する。湿気も少し高くなっているだろうか。グレンは警戒を強めた。その瞬間だった。凄まじいスピードで何かに体を縛りつけられた。反射的に攻撃魔法で応戦しようと意識を集中させようとしたが、先に右腕を針のようなもので刺された。一瞬意識が飛んだが、先ほど張っておいた結界のおかげで何とか取り留めた。だが、刺された右腕には感覚がない。
「毒、か?」
とっさに解毒を試みる。だが、右腕から放たれた光は力なく消えた。麻痺した腕ではうまく魔力が繰り出せないようだ。
「フリーズ!」
朦朧としている意識の中に飛び込んできたのは聞き覚えのある声と、凍えるような強い冷気だ。そして、体に突き刺さる何本もの針。
もっと、自分のこと、大切にしてくれないか?
エストルの言葉が蘇って何よりもまず解毒の魔法を発動する。だが、刺された箇所はやはりすでに麻痺しており、完全に毒を食い止めることはできなかった。それでも、時間は容赦してくれなかった。背後でぶちっと鈍い音がして、液体が飛び散ったと思うと、体が落下を始めたのだった。結界を張って衝撃を和らげたつもりだったが、それでも地面に体が打ちつけられて跳ね返った。
「グレン!」
若干ぼやけていたが、見上げると、そこにはやはり見覚えのある顔があった。
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