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「久しぶりだな。相当腕を上げたようだな」
「そんな。こんな姿で……お恥ずかしいかぎりです」
激しく混乱している。顔を赤らめるグレンをクレサックは優しい眼差しで見た。
「そんなことはない。お前ほどの腕がなければ、あの状況から生還することは難しかった」
あの状況?
グレンはぼんやりと記憶をたどった。
インディゴ鉱山に捜索に行って、クラーケン型の魔獣に腕を刺されて――
「あの魔獣の毒は猛毒だ。お前の治癒力で初期段階に解毒をしていなかったら死んでいた」
グレンの表情がこわばった。今思い出しても怖い。あのときは本当にもう駄目かと思った。
「ウィンターが来てくれなかったら……死んでた」
「一人では無理だ。私も魔物がお前に気を取られていたからこそ倒せた。それにお前の魔力を借りなければあれだけの巨体は斬れなかった」
「そう……それより……」
「ああ。そうだな」
クレサックはグレンに笑いかけた。
「ここは、私の家。隠れ家だ」
「隠れ家?」
「そう。隠れ家だ。窓の外を見れば分かるが、森の中にある。辺りには特殊な結界が張ってあって、私が認めた者しか入れない。それ以外の者はここにたどり着けないようになっている」
「なぜそんなことを?」
「ヴァンパイアを殲滅するためだ」
グレンは目を丸くした。クレサックは続けた。
「王騎士だった頃、とある村にヴァンパイア討伐に行き、ウィンターと出会った。そして、真実を知った。お前も聞いたはずだ。ヴァンパイアがテルウィングの生物兵器であり、それがゲートを介して送り込まれてきたのだと」
そのとき、隣の部屋でドアの開く音がした。
「ただいま」
またしても聞き覚えのある声だ。
「あ、目、覚めたの?」
顔を覗かせたのはシャロンだった。グレンは驚きのあまり声が出なくなった。
次回更新予定日:2015/12/19
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「そんな。こんな姿で……お恥ずかしいかぎりです」
激しく混乱している。顔を赤らめるグレンをクレサックは優しい眼差しで見た。
「そんなことはない。お前ほどの腕がなければ、あの状況から生還することは難しかった」
あの状況?
グレンはぼんやりと記憶をたどった。
インディゴ鉱山に捜索に行って、クラーケン型の魔獣に腕を刺されて――
「あの魔獣の毒は猛毒だ。お前の治癒力で初期段階に解毒をしていなかったら死んでいた」
グレンの表情がこわばった。今思い出しても怖い。あのときは本当にもう駄目かと思った。
「ウィンターが来てくれなかったら……死んでた」
「一人では無理だ。私も魔物がお前に気を取られていたからこそ倒せた。それにお前の魔力を借りなければあれだけの巨体は斬れなかった」
「そう……それより……」
「ああ。そうだな」
クレサックはグレンに笑いかけた。
「ここは、私の家。隠れ家だ」
「隠れ家?」
「そう。隠れ家だ。窓の外を見れば分かるが、森の中にある。辺りには特殊な結界が張ってあって、私が認めた者しか入れない。それ以外の者はここにたどり着けないようになっている」
「なぜそんなことを?」
「ヴァンパイアを殲滅するためだ」
グレンは目を丸くした。クレサックは続けた。
「王騎士だった頃、とある村にヴァンパイア討伐に行き、ウィンターと出会った。そして、真実を知った。お前も聞いたはずだ。ヴァンパイアがテルウィングの生物兵器であり、それがゲートを介して送り込まれてきたのだと」
そのとき、隣の部屋でドアの開く音がした。
「ただいま」
またしても聞き覚えのある声だ。
「あ、目、覚めたの?」
顔を覗かせたのはシャロンだった。グレンは驚きのあまり声が出なくなった。
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