魔珠 第5章 インディゴ(1) 重圧 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
Admin / Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

グレンはドアの前で立ち止まってノックをした。
「入れ」
「失礼します」
 グレンが部屋に入ると、エストルは本棚からノートと地図を取り出し、テーブルに広げた。
「まあ座れ」
 グレンが席に着くのを確認して、エストルは自分も座り慣れた木製の椅子に腰かけた。
「インディゴ鉱山がどこにあるか覚えているか?」
「確か……」
 グレンは王都の南西、内陸部にある山脈の北東を探した。
「あった。ここだ」
「そう。鉱山というが、まあ要するに中は天然の洞窟だ。数十種類の鉱石が採れるらしい」
「随分多いね」
「あまり奥に行く人はいないが、奥の方でしか採れない鉱石というのもあって、今回失踪した人たちは奥の方に採掘に行ったらしい」
「だけど、戻ってこなかった?」
「そう。インディゴ鉱山の近くの町には採掘者ギルドがあって、そこに登録している人だけが採掘できる仕組みだ。二名が鉱山から戻っていないことが分かり、すぐに冒険者ギルドに捜索を依頼したらしい。二名の冒険者が現地に向かったが、その二名も還ってこない」
「鉱山の奥に魔獣がいて襲われたとか、そういう可能性が高そうだね」
「ギルドの人たちもそう考えている」
「分かった。行ってくるよ」
 グレンが席を立とうとすると、エストルが止めた。
「また一人で行くのか?」
「そのつもりだけど」
「部下を連れて行ってもいいんだぞ」
「分かってるけど……一人の方がいいんだ。その方が魔獣を倒すことだけに集中できて。他人の指示出したりとか、あんまり得意じゃないんだ」
「本当は……部下を危険に晒したくないんだろ」
 見透かされていた。やはりエストルには嘘が通用しない。
「部下は危険に晒したくないのに、自分は平気で危険なところに行くんだな」
 エストルが小さく呟く。
「グレン、私は、お前がいなくなるのが怖いんだ」
「え?」
 急にそんな言い方をされて、グレンの方が困惑した。
「私には宰相の仕事は荷が重すぎる。よく重圧に押しつぶされそうになる」
「エストルが?」

次回更新予定日:2015/11/21

ランキングに参加中です。よろしかったらポチッとお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 創作ファンタジーリンク
PR
この記事にコメントする
Name :
Title :
Mail :
URL :
Color :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment :
Password :
HOME | 37  36  35  34  33  32  31  30  29  28  27 

忍者ブログ [PR]