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グレンはドアの前で立ち止まってノックをした。
「入れ」
「失礼します」
グレンが部屋に入ると、エストルは本棚からノートと地図を取り出し、テーブルに広げた。
「まあ座れ」
グレンが席に着くのを確認して、エストルは自分も座り慣れた木製の椅子に腰かけた。
「インディゴ鉱山がどこにあるか覚えているか?」
「確か……」
グレンは王都の南西、内陸部にある山脈の北東を探した。
「あった。ここだ」
「そう。鉱山というが、まあ要するに中は天然の洞窟だ。数十種類の鉱石が採れるらしい」
「随分多いね」
「あまり奥に行く人はいないが、奥の方でしか採れない鉱石というのもあって、今回失踪した人たちは奥の方に採掘に行ったらしい」
「だけど、戻ってこなかった?」
「そう。インディゴ鉱山の近くの町には採掘者ギルドがあって、そこに登録している人だけが採掘できる仕組みだ。二名が鉱山から戻っていないことが分かり、すぐに冒険者ギルドに捜索を依頼したらしい。二名の冒険者が現地に向かったが、その二名も還ってこない」
「鉱山の奥に魔獣がいて襲われたとか、そういう可能性が高そうだね」
「ギルドの人たちもそう考えている」
「分かった。行ってくるよ」
グレンが席を立とうとすると、エストルが止めた。
「また一人で行くのか?」
「そのつもりだけど」
「部下を連れて行ってもいいんだぞ」
「分かってるけど……一人の方がいいんだ。その方が魔獣を倒すことだけに集中できて。他人の指示出したりとか、あんまり得意じゃないんだ」
「本当は……部下を危険に晒したくないんだろ」
見透かされていた。やはりエストルには嘘が通用しない。
「部下は危険に晒したくないのに、自分は平気で危険なところに行くんだな」
エストルが小さく呟く。
「グレン、私は、お前がいなくなるのが怖いんだ」
「え?」
急にそんな言い方をされて、グレンの方が困惑した。
「私には宰相の仕事は荷が重すぎる。よく重圧に押しつぶされそうになる」
「エストルが?」
次回更新予定日:2015/11/21
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「入れ」
「失礼します」
グレンが部屋に入ると、エストルは本棚からノートと地図を取り出し、テーブルに広げた。
「まあ座れ」
グレンが席に着くのを確認して、エストルは自分も座り慣れた木製の椅子に腰かけた。
「インディゴ鉱山がどこにあるか覚えているか?」
「確か……」
グレンは王都の南西、内陸部にある山脈の北東を探した。
「あった。ここだ」
「そう。鉱山というが、まあ要するに中は天然の洞窟だ。数十種類の鉱石が採れるらしい」
「随分多いね」
「あまり奥に行く人はいないが、奥の方でしか採れない鉱石というのもあって、今回失踪した人たちは奥の方に採掘に行ったらしい」
「だけど、戻ってこなかった?」
「そう。インディゴ鉱山の近くの町には採掘者ギルドがあって、そこに登録している人だけが採掘できる仕組みだ。二名が鉱山から戻っていないことが分かり、すぐに冒険者ギルドに捜索を依頼したらしい。二名の冒険者が現地に向かったが、その二名も還ってこない」
「鉱山の奥に魔獣がいて襲われたとか、そういう可能性が高そうだね」
「ギルドの人たちもそう考えている」
「分かった。行ってくるよ」
グレンが席を立とうとすると、エストルが止めた。
「また一人で行くのか?」
「そのつもりだけど」
「部下を連れて行ってもいいんだぞ」
「分かってるけど……一人の方がいいんだ。その方が魔獣を倒すことだけに集中できて。他人の指示出したりとか、あんまり得意じゃないんだ」
「本当は……部下を危険に晒したくないんだろ」
見透かされていた。やはりエストルには嘘が通用しない。
「部下は危険に晒したくないのに、自分は平気で危険なところに行くんだな」
エストルが小さく呟く。
「グレン、私は、お前がいなくなるのが怖いんだ」
「え?」
急にそんな言い方をされて、グレンの方が困惑した。
「私には宰相の仕事は荷が重すぎる。よく重圧に押しつぶされそうになる」
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