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頭の中が真っ白になった。状況は想像していた以上に悪い。
「セレストはヴィリジアンを欲しがっているだろう。せっかくヴァンパイア化した人間を浄化されてしまっては都合が悪い。それにお前にはまだ他にやってもらいたいことがある」
「王騎士として、情報を集め、適切に対応すること」
呟くと、責任がずっしりと重くのしかかってきた。
「だから、しばらくこの剣の世話は私に任せて」
シャロンが明るい声で言いながら、ヴィリジアンの柄に手をかける。
「うん」
笑顔で剣を返したが、不安感は逆に増していく。
「とりあえず今はゆっくり休め。まだ体に力が入らないだろう」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ところで、クレッチとデュランは元気にしているか?」
「あ、はい」
クレッチとデュランは王騎士になるときにクレサックがつけてくれた部下だった。
「最近はあまりゆっくり話す機会がないのですが、元気そうにはしています」
エストルに先日指摘されたように最近あまり二人を任務に連れて行かない。城内で短い会話をする程度だ。
「あまり部下を連れて行かないらしいな。まあウィンターやシャロンのこともあるから連れて行きにくいとは思うが」
「はい。一人の方が動きやすいような気がして」
「そうかもな」
クレサックはぽつりと呟いた。
「とにかく無茶だけはしないでくれ」
言い残してクレサックとシャロンは部屋を出ていった。ドアが静かに閉じる。
「もうしばらく、ここにいてもいいのかな」
「好きなだけいていい」
ウィンターが布団をかけ直しながら言った。
「まだ、力が戻らなくてふらふらするんだ。クレサック将軍のおっしゃっていたように。それに、右腕が思うように動かない」
「当然だ。あれだけの猛毒を喰らったあとに膨大な魔力を消費したんだ」
「エストルに、言われたんだ。部下は連れて行かないのか、って」
「士官学校時代からの友人なんだろう。心配して当然だ」
「うん。いつも僕のこと心配してくれて」
次回更新予定日:2016/01/09
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「セレストはヴィリジアンを欲しがっているだろう。せっかくヴァンパイア化した人間を浄化されてしまっては都合が悪い。それにお前にはまだ他にやってもらいたいことがある」
「王騎士として、情報を集め、適切に対応すること」
呟くと、責任がずっしりと重くのしかかってきた。
「だから、しばらくこの剣の世話は私に任せて」
シャロンが明るい声で言いながら、ヴィリジアンの柄に手をかける。
「うん」
笑顔で剣を返したが、不安感は逆に増していく。
「とりあえず今はゆっくり休め。まだ体に力が入らないだろう」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ところで、クレッチとデュランは元気にしているか?」
「あ、はい」
クレッチとデュランは王騎士になるときにクレサックがつけてくれた部下だった。
「最近はあまりゆっくり話す機会がないのですが、元気そうにはしています」
エストルに先日指摘されたように最近あまり二人を任務に連れて行かない。城内で短い会話をする程度だ。
「あまり部下を連れて行かないらしいな。まあウィンターやシャロンのこともあるから連れて行きにくいとは思うが」
「はい。一人の方が動きやすいような気がして」
「そうかもな」
クレサックはぽつりと呟いた。
「とにかく無茶だけはしないでくれ」
言い残してクレサックとシャロンは部屋を出ていった。ドアが静かに閉じる。
「もうしばらく、ここにいてもいいのかな」
「好きなだけいていい」
ウィンターが布団をかけ直しながら言った。
「まだ、力が戻らなくてふらふらするんだ。クレサック将軍のおっしゃっていたように。それに、右腕が思うように動かない」
「当然だ。あれだけの猛毒を喰らったあとに膨大な魔力を消費したんだ」
「エストルに、言われたんだ。部下は連れて行かないのか、って」
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