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「やめろ、ソード」
声を振り絞ってウィンターが制する。だが、ソードは構わず先を続けた。
「引き分けとしても、双方が息絶えるまで続ける。引き分けと呼べるものがあるとしたら、それは相討ちの場合のみだ」
「ソード……」
何を目指しているのか。なぜここまでして強さを証明しなければならないのか。ソードにしか分からない。ソードの歪んでしまった心にしか分からないソードだけの信念。
「それに」
ソードの手がふわりと赤い光に包まれる。
「まだ全部使い果たしたわけではない」
ウィンターは目を見開いた。終わりだ。もうグレンの体からは全く魔力が感じられない。力を振り絞って拳を握り、その拳を支えにして起き上がろうと試みた。だが、すぐに力は尽き、体が地についた。残っている魔力はないか、集中してみる。だが、どこからも力が湧いてこない。
「そうか」
声に反応して顔を上げると、グレンが放り出された剣に手を伸ばしていた。
「応えて、くれるかな」
優しい声と表情で剣の鞘を握りしめると、ヴィリジアンが緑色に輝いた。わずかしか残っていなかった魔力を注ぎ込むと、それが大きくなって還ってきてグレンの体の隅々に浸透していった。グレンは大地の感触を確かめるようにしっかりと手をつき、体を起こした。そのまま少しおぼつかない姿勢でゆっくりと立ち上がる。
「そんな。まさか」
あまり見たことのない驚きの表情をソードが見せる。
「まだ、戦えるみたい」
グレンはソードをヴィリジアンの瞳で見据え、剣を構えた。感覚が戻っていつもどおりのきりっとした姿勢に戻る。
「これは、負けたか?」
皮肉っぽい笑みを浮かべはしたが、まだ諦めているようには見えなかった。
「今度はこっちから行くよ」
剣がひときわ強い輝きを放つ。グレンは渾身の力を込めて剣を大きく振った。
「喰らえ!」
ソードも魔力を放出してこれに対抗する。
二つの光がぶつかる。ぶつかった瞬間、ソードは力が足りていないことを素速く察知し、温存していた魔力を足した。グレンの放った緑色の光は速度を落としたが、まだゆっくりと押されている。
「やむを得ないか」
次回更新予定日:2018/05/26
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声を振り絞ってウィンターが制する。だが、ソードは構わず先を続けた。
「引き分けとしても、双方が息絶えるまで続ける。引き分けと呼べるものがあるとしたら、それは相討ちの場合のみだ」
「ソード……」
何を目指しているのか。なぜここまでして強さを証明しなければならないのか。ソードにしか分からない。ソードの歪んでしまった心にしか分からないソードだけの信念。
「それに」
ソードの手がふわりと赤い光に包まれる。
「まだ全部使い果たしたわけではない」
ウィンターは目を見開いた。終わりだ。もうグレンの体からは全く魔力が感じられない。力を振り絞って拳を握り、その拳を支えにして起き上がろうと試みた。だが、すぐに力は尽き、体が地についた。残っている魔力はないか、集中してみる。だが、どこからも力が湧いてこない。
「そうか」
声に反応して顔を上げると、グレンが放り出された剣に手を伸ばしていた。
「応えて、くれるかな」
優しい声と表情で剣の鞘を握りしめると、ヴィリジアンが緑色に輝いた。わずかしか残っていなかった魔力を注ぎ込むと、それが大きくなって還ってきてグレンの体の隅々に浸透していった。グレンは大地の感触を確かめるようにしっかりと手をつき、体を起こした。そのまま少しおぼつかない姿勢でゆっくりと立ち上がる。
「そんな。まさか」
あまり見たことのない驚きの表情をソードが見せる。
「まだ、戦えるみたい」
グレンはソードをヴィリジアンの瞳で見据え、剣を構えた。感覚が戻っていつもどおりのきりっとした姿勢に戻る。
「これは、負けたか?」
皮肉っぽい笑みを浮かべはしたが、まだ諦めているようには見えなかった。
「今度はこっちから行くよ」
剣がひときわ強い輝きを放つ。グレンは渾身の力を込めて剣を大きく振った。
「喰らえ!」
ソードも魔力を放出してこれに対抗する。
二つの光がぶつかる。ぶつかった瞬間、ソードは力が足りていないことを素速く察知し、温存していた魔力を足した。グレンの放った緑色の光は速度を落としたが、まだゆっくりと押されている。
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