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すると、顔面蒼白になっているグレンに追い打ちをかけるようにソードは答えた。
「上級ヴァンパイアだからだ。私が」
「何、だと?」
先ほどまでの快進撃が嘘のような苦しそうな表情でウィンターがつぶやく。ソードは不気味な笑みを口元にたたえる。
「開発に失敗したマスターヴァンパイア〈004〉。その核をヴァンパイアに埋め込んだらどうなるのか。何体かのヴァンパイアで試した。そのまま消滅する者もいたが、何体かは強力な力を得た。魔力や戦闘能力が飛躍的に向上し、マスターヴァンパイアには及ばないものの、それに匹敵する強さが得られることが分かった」
「まさか、お前……」
「そう。私はテルウィング王にその核を埋め込んで欲しいと申し出た。必ずや陛下のお役に立ちます、と」
「ソード、お前、なんてことを」
激しい怒りが込み上げてくる。だが、それがソードに向けられた怒りなのかウィンターには分からなかった。
「人間であることを捨て、挙げ句の果てに生物兵器になるなんて」
悔し涙があふれてきて、ようやく気づく。
「私のせいだ。全て、私のせい」
怒りの矛先は自分に向けられていた。最初からずっと自分に向けられていた。ソードが上級ヴァンパイアになったことを知ってもその思いは変わらなかった。
「陛下!」
目が開いた瞬間、エストルは声を上げた。
「へ……陛下?」
セレストは聞き慣れない響きの言葉にとまどっている。エストルは状況をすぐに把握し、脳内で修正した。いくつかの確認と説明をしなければならない。口を開こうとすると、セレストに先行される。
「お前は……エストル? エストルなのか?」
確かにエストルの顔だ。だが、セレストの知っているエストルよりもたくましく、大人びている。
「そうです。陛下はムーンホルン国王セレスト陛下、そして私は陛下にお仕えする宰相エストルです」
「そんな……何かの間違いだ。私は王太子。国王は父上だ。それに、エストル。宰相はお前の父君が」
困惑した様子のセレストの言葉を静めるようにエストルは落ち着いた口調で聞いた。
「陛下。陛下は今お目覚めになりましたね。お目覚めになる前、何をされていましたか?」
次回更新予定日:2018/04/28
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「上級ヴァンパイアだからだ。私が」
「何、だと?」
先ほどまでの快進撃が嘘のような苦しそうな表情でウィンターがつぶやく。ソードは不気味な笑みを口元にたたえる。
「開発に失敗したマスターヴァンパイア〈004〉。その核をヴァンパイアに埋め込んだらどうなるのか。何体かのヴァンパイアで試した。そのまま消滅する者もいたが、何体かは強力な力を得た。魔力や戦闘能力が飛躍的に向上し、マスターヴァンパイアには及ばないものの、それに匹敵する強さが得られることが分かった」
「まさか、お前……」
「そう。私はテルウィング王にその核を埋め込んで欲しいと申し出た。必ずや陛下のお役に立ちます、と」
「ソード、お前、なんてことを」
激しい怒りが込み上げてくる。だが、それがソードに向けられた怒りなのかウィンターには分からなかった。
「人間であることを捨て、挙げ句の果てに生物兵器になるなんて」
悔し涙があふれてきて、ようやく気づく。
「私のせいだ。全て、私のせい」
怒りの矛先は自分に向けられていた。最初からずっと自分に向けられていた。ソードが上級ヴァンパイアになったことを知ってもその思いは変わらなかった。
「陛下!」
目が開いた瞬間、エストルは声を上げた。
「へ……陛下?」
セレストは聞き慣れない響きの言葉にとまどっている。エストルは状況をすぐに把握し、脳内で修正した。いくつかの確認と説明をしなければならない。口を開こうとすると、セレストに先行される。
「お前は……エストル? エストルなのか?」
確かにエストルの顔だ。だが、セレストの知っているエストルよりもたくましく、大人びている。
「そうです。陛下はムーンホルン国王セレスト陛下、そして私は陛下にお仕えする宰相エストルです」
「そんな……何かの間違いだ。私は王太子。国王は父上だ。それに、エストル。宰相はお前の父君が」
困惑した様子のセレストの言葉を静めるようにエストルは落ち着いた口調で聞いた。
「陛下。陛下は今お目覚めになりましたね。お目覚めになる前、何をされていましたか?」
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