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「目覚める……前?」
セレストは記憶をたどった。
「森に、狩りに行って、少女に出会って……」
少女は森の中で迷ったと言った。だから、森の出口まで送った。そして――
「少女を送られた後、どうされました?」
セレストは愕然となった。急に記憶が途切れている。
「やはり、覚えておられないようですね」
エストルは表情を緩めた。思っていたとおりだ。セレストは操られていた間、意識がなかったのだ。
「私が今からお話しします。驚くようなことや心の痛むようなお話もあると思います。ですが、落ち着いて聞いていただきたいのです」
エストルはじっとセレストの目を見つめた。
「我々は最善を尽くし、全ては、解決の方向に向かっています」
セレストも不安にさいなまれながらエストルの目を見ていたが、やがて決心したように毅然と答えた。
「分かった。話してくれ」
穏やかな表情でうなずいて、エストルはこれまでの経緯を話し始めた。
ウィンターは力が完全に尽きて動けなくなっていた。
エルのことが好きだった。ソードと同じように好きだった。エルを失って悲しかった。だが、ウィンターはそれを言葉にできた。言葉にして出会ったばかりの人にも話せた。ソードにはそれができなかった。それがうまくできるだけの年齢に至っていなかった。それがうまくできる正確の人間ではなかった。
そして、そのソードを救うことさえ、できなかった。
「私が……私の手で止めたい。止めたいのに」
「止めるだけの力もないくせに。償え、その死をもって!」
完全にうちひしがれたウィンターにソードが渾身の魔力を放つ。ウィンターは避けることもできず、その場で呆然としていた。頭の中は真っ白になっていた。
しかし、目の前でまばゆい光が広がり、大きな破裂音がして、ウィンターは我に返る。
「大丈夫、ウィンター?」
クリアブルーの美しい結界がウィンターの目の前で消滅する。まだかすかに煙がふわふわと舞っていた。
「グレン」
堂々とした姿勢でグレンは立っていた。
「手加減、してたでしょ」
ヴィリジアンの瞳が静かに輝く。ソードはにやりと冷酷な笑みを返した。
次回更新予定日:2018/05/05
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セレストは記憶をたどった。
「森に、狩りに行って、少女に出会って……」
少女は森の中で迷ったと言った。だから、森の出口まで送った。そして――
「少女を送られた後、どうされました?」
セレストは愕然となった。急に記憶が途切れている。
「やはり、覚えておられないようですね」
エストルは表情を緩めた。思っていたとおりだ。セレストは操られていた間、意識がなかったのだ。
「私が今からお話しします。驚くようなことや心の痛むようなお話もあると思います。ですが、落ち着いて聞いていただきたいのです」
エストルはじっとセレストの目を見つめた。
「我々は最善を尽くし、全ては、解決の方向に向かっています」
セレストも不安にさいなまれながらエストルの目を見ていたが、やがて決心したように毅然と答えた。
「分かった。話してくれ」
穏やかな表情でうなずいて、エストルはこれまでの経緯を話し始めた。
ウィンターは力が完全に尽きて動けなくなっていた。
エルのことが好きだった。ソードと同じように好きだった。エルを失って悲しかった。だが、ウィンターはそれを言葉にできた。言葉にして出会ったばかりの人にも話せた。ソードにはそれができなかった。それがうまくできるだけの年齢に至っていなかった。それがうまくできる正確の人間ではなかった。
そして、そのソードを救うことさえ、できなかった。
「私が……私の手で止めたい。止めたいのに」
「止めるだけの力もないくせに。償え、その死をもって!」
完全にうちひしがれたウィンターにソードが渾身の魔力を放つ。ウィンターは避けることもできず、その場で呆然としていた。頭の中は真っ白になっていた。
しかし、目の前でまばゆい光が広がり、大きな破裂音がして、ウィンターは我に返る。
「大丈夫、ウィンター?」
クリアブルーの美しい結界がウィンターの目の前で消滅する。まだかすかに煙がふわふわと舞っていた。
「グレン」
堂々とした姿勢でグレンは立っていた。
「手加減、してたでしょ」
ヴィリジアンの瞳が静かに輝く。ソードはにやりと冷酷な笑みを返した。
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