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「嘘だ。ソードは……ソードはそんな理由で何人もの人を殺せる人じゃない」
「グレン?」
ウィンターの方が驚いた表情でグレンの横顔を見た。だが、グレンは構わず続けた。
「ソードはヴァンパイアになった僕の話を親身になって聞いてくれた。僕が他の人を傷つけないように血を分け与えてくれた」
「愚かな。それは全てお前を欺き、ヴィリジアンの瞳を持つお前を味方につけて利用するためだ」
微動だにせず、無表情に見つめるグレンに言い放つ。
「私は……私は全てを失った。この、力以外は!」
いつも冷静なソードが珍しく怒りをあらわにする。グレンはうつむいて胸に手を当てた。
「僕は」
目を閉じて祈るように切り出す。
「僕は確かに感じたよ。君の優しさ。芝居だったとしても、優しさを知っている人、誰かに優しくしてもらった人でないとあんなふうに優しくなんてできないよ」
胸に手を当てたままそっと目を開ける。ヴィリジアンの瞳が静かに問う。
「君は、何かを守るために戦っているんじゃないの?」
「黙れ!」
その言葉がソードの逆鱗に触れたらしく、すさまじい勢いの攻撃魔法が飛んでくる。ウィンターがグレンよりも先に反応し、グレンをかばうように前に出て剣で魔法を跳ね飛ばす。
「ソード、お前の相手は私だ!」
ウィンターはそのまま剣を構え直して言った。
「お前がこうなったのは私のせいだ。だから……私が清算する」
「ウィンター? 何を言って……」
グレンは訳が分からなくなってただ戸惑う。ウィンターは毅然と剣を構えたまま唇を動かした。
「ソードは、私の弟だ」
「弟?」
問い返した声は自分でもなぜかと思うほど冷静だった。もっと驚いてもいいはずなのに。そういえば。
「そうか。なんか初めてウィンターを見たとき、思ったんだ。ソードと、どこか雰囲気が似ているなって」
今、はっきり思い出した。
「言われなくても分かるくらい似ているところがある二人なのに、血を分かち合った兄弟なんだって分かる二人なのに。なんで争わないといけないの?」
しかし、グレンの言葉を聞いていたウィンターの目は冷たかった。
「もうソードの血は、私よりもむしろグレン、お前に近い」
次回更新予定日:2018/03/24
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「グレン?」
ウィンターの方が驚いた表情でグレンの横顔を見た。だが、グレンは構わず続けた。
「ソードはヴァンパイアになった僕の話を親身になって聞いてくれた。僕が他の人を傷つけないように血を分け与えてくれた」
「愚かな。それは全てお前を欺き、ヴィリジアンの瞳を持つお前を味方につけて利用するためだ」
微動だにせず、無表情に見つめるグレンに言い放つ。
「私は……私は全てを失った。この、力以外は!」
いつも冷静なソードが珍しく怒りをあらわにする。グレンはうつむいて胸に手を当てた。
「僕は」
目を閉じて祈るように切り出す。
「僕は確かに感じたよ。君の優しさ。芝居だったとしても、優しさを知っている人、誰かに優しくしてもらった人でないとあんなふうに優しくなんてできないよ」
胸に手を当てたままそっと目を開ける。ヴィリジアンの瞳が静かに問う。
「君は、何かを守るために戦っているんじゃないの?」
「黙れ!」
その言葉がソードの逆鱗に触れたらしく、すさまじい勢いの攻撃魔法が飛んでくる。ウィンターがグレンよりも先に反応し、グレンをかばうように前に出て剣で魔法を跳ね飛ばす。
「ソード、お前の相手は私だ!」
ウィンターはそのまま剣を構え直して言った。
「お前がこうなったのは私のせいだ。だから……私が清算する」
「ウィンター? 何を言って……」
グレンは訳が分からなくなってただ戸惑う。ウィンターは毅然と剣を構えたまま唇を動かした。
「ソードは、私の弟だ」
「弟?」
問い返した声は自分でもなぜかと思うほど冷静だった。もっと驚いてもいいはずなのに。そういえば。
「そうか。なんか初めてウィンターを見たとき、思ったんだ。ソードと、どこか雰囲気が似ているなって」
今、はっきり思い出した。
「言われなくても分かるくらい似ているところがある二人なのに、血を分かち合った兄弟なんだって分かる二人なのに。なんで争わないといけないの?」
しかし、グレンの言葉を聞いていたウィンターの目は冷たかった。
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