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会議が終わったのは、ちょうど日没の頃だった。すっかり書き込みだらけになった城の見取り図を抱えて執務室に向かうと、ちょうどエストルが出てきた。
「終わったか?」
「あ、はい」
エストルはゆっくりと執務室に鍵をかけた。予定されていた公務は一通り終わったのだろう。
「遅くまでご苦労だった。部屋で聞こう」
グレンはエストルの後ろを黙ってついていった。部屋に入って鍵を閉めると、エストルはグレンの手から見取り図を取って、さっさとテーブルに広げた。
「さあ、聞こうか」
「う、うん」
グレンは抜けているところがないか確認しながら、エストルに城の警備案を説明する。各方面の人員の配置、パトロールの経路や方法。非常時の各部隊の対応についても細かく決めた。エストルは見取り図を見つめながら、静かにそれを聞いていた。
「これで行こうと思うんだけど」
グレンは心配そうな顔をしてエストルの鋭い瞳をのぞいた。エストルは顎に手を当てたまま黙っている。グレンも目を伏せて押し黙った。
「グレン」
やがてエストルが口を開く。
「お前が今、何を考えているか当ててやろうか」
グレンはびくっとして目をそらした。
「嫌だ。やめて、エストル。言葉にしたら……」
全てが壊れる。だが、エストルは無視して続けた。
「これだけ警備を強化しても、その気になれば容易く侵入されてしまうのではないか、そう考えているんだろう」
「そんなことは……侵入を許すような警備案は王騎士として出せない」
険しい目つきでエストルをにらむ。だが、エストルはつかつかと歩み寄ると、その手をグレンの肩に載せた。
「こんなところで意地を張るな、グレン」
グレンはがくんと肩を落とした。
「私も、そう思っている」
次回更新予定日:2016/08/20
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「終わったか?」
「あ、はい」
エストルはゆっくりと執務室に鍵をかけた。予定されていた公務は一通り終わったのだろう。
「遅くまでご苦労だった。部屋で聞こう」
グレンはエストルの後ろを黙ってついていった。部屋に入って鍵を閉めると、エストルはグレンの手から見取り図を取って、さっさとテーブルに広げた。
「さあ、聞こうか」
「う、うん」
グレンは抜けているところがないか確認しながら、エストルに城の警備案を説明する。各方面の人員の配置、パトロールの経路や方法。非常時の各部隊の対応についても細かく決めた。エストルは見取り図を見つめながら、静かにそれを聞いていた。
「これで行こうと思うんだけど」
グレンは心配そうな顔をしてエストルの鋭い瞳をのぞいた。エストルは顎に手を当てたまま黙っている。グレンも目を伏せて押し黙った。
「グレン」
やがてエストルが口を開く。
「お前が今、何を考えているか当ててやろうか」
グレンはびくっとして目をそらした。
「嫌だ。やめて、エストル。言葉にしたら……」
全てが壊れる。だが、エストルは無視して続けた。
「これだけ警備を強化しても、その気になれば容易く侵入されてしまうのではないか、そう考えているんだろう」
「そんなことは……侵入を許すような警備案は王騎士として出せない」
険しい目つきでエストルをにらむ。だが、エストルはつかつかと歩み寄ると、その手をグレンの肩に載せた。
「こんなところで意地を張るな、グレン」
グレンはがくんと肩を落とした。
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