魔珠 最終章 ゲート(4) 与えられた力 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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「喜んで」
 ウィンターは微笑んでグラスに残っていた酒を飲み干した。
「そうと決まったら、あまり夜更かしはできないな。今日はありがとう」
「こちらこそ」
 席を立ったウィンターをグレンは見送った。ドアを閉めると、エストルと二人きりになった。
「グレン」
 エストルに声をかけられてグレンは振り返る。エストルがいつも以上に真剣な目をしているのを見て何となく次に何を言われるのか察し、グレンは席に戻った。
「ありがとう、エストル。僕もそのことエストルに聞いてもらいたいと思っていた」
 エストルは優しい笑顔でうなずいた。
「では、聞こう。上級ヴァンパイアは全て撃破した。どのタイミングで人間に戻るつもりだ?」
「少なくともテルウィングの状況が分かるまでは今のままでいようと思う。完成間近の上級ヴァンパイアを隠し持っているかもしれないし……って感じの回答でどうかな?」
「期待通りの回答だ」
「もちろんヴァンパイアでいる間は誰かの血が必要になるから、エストルがよければ、だけど」
「少しでもお前の力になれることが私の望みだ。いいに決まっている」
 しかし、グレンは少し表情を曇らせてうつむいた。
「あのね、エストル。その後どうしようかって迷っているんだ。まだ上級ヴァンパイアほどではないけど強いヴァンパイアもいるかもしれない。きっと強い魔獣もいる。だから、まだこの力が必要なんじゃないかって。でもね」
 グレンは右手を開いて見つめた。
「いつまでもヴァンパイアから与えられた力に頼っていていいのかっていう気持ちもあるんだ」
 ヴァンパイアに噛まれて突然手に入った力。明らかにそれまで持っていた力よりも強大な力。鍛錬によって手に入れることがかなわない人間離れした力。そんな危険な力を持つ人間がいつまでも存在していていいのだろうか。
 エストルは黙ってグレンの話を聞いた。グレンの気持ちはよく分かる。
「本当はウィンターのように努力をして力を手に入れるべきなんだろうけど……」
「グレン」
 エストルが急に閉ざしていた口を開く。
「お前はウィンターではない。ウィンターは生まれながら魔術の素質に恵まれている。だからこそ鍛錬することであの強さを手に入れられたのだ。他の者が同じようにしてもあのレベルまで到達することはできない。力を手にする方法は人それぞれだ。そして、グレン」

次回更新予定日:2018/07/07

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