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「じゃあ、マーラルを何とかしたら、リザレス王は兵器をこちらに引き渡してくれるかなあ」
スイはメノウの瞳をのぞき込んだ。
「お前はどう思う?」
「僕はね」
メノウはにっこり微笑んだ。
「リザレス王は現実主義者なんじゃないかと思っているんだ。だからこそマーラルが兵器を開発していると聞いて兵器を作らせた。だから、兵器を引き渡すことで里から魔珠が供給されるのであれば、兵器を手元に置いておくことにこだわらないと思うんだ」
メノウの読みは正しい。リザレス王エトはそういう人だ。
「ただね、陛下の周りにはせっかく作った兵器を手放したくないって思う人もいるんじゃないかって思うんだ」
「そういう勢力が現れたら、そのときにつぶせばいい」
スイの頭にあったのはレヴィリン。だが、他にもエトの周りにそのように考えている人間がいる可能性は大いにある。魔術兵器の開発などという思い切ったことが実現できたのは、兵器の保有に肯定的なものが少なからず王の取り巻きにいたからに違いないからだ。
「そうか。そこまで考えてくれていたんだね。でもね」
メノウは意地の悪い笑いを浮かべた。
「本当にリザレスの魔術兵器はマーラル侵攻の抑止力として働くと思う?」
すると、スイも苦笑する。
「思わないな」
言い切って続ける。
「里がマーラルへの魔珠の輸出停止を発表する。周辺国のいずれかを攻めて魔珠を確保する。いずれかの国と戦わなければならないのなら、魔術師としての己の力を試してみたいと願ってやまないマーラル王は、ためらうことなく自分に匹敵する大魔術師であるレヴィリンを相手として選ぶ。そのタイミングでリザレスが兵器の保有を宣言したとしてもそれは何の意味もない。魔術兵器も奪えるなら好都合と思うだけだろう。マーラル王はそういうお方だ」
「そうだよね。でも」
メノウの目が意地悪く笑う。
「陛下には教えてあげなかったんだ」
「陛下も兵器に絶対的な信頼を置いているわけではない。戦争を回避するために使える可能性のあるカードの一つに過ぎない。それに」
スイはため息をついた。
「実は、レヴィリン博士とも話をしたのだが」
エトに魔術兵器のことを確認しに行った後のことだ。談話室でレヴィリンにメノウと同じ質問をした。
次回更新予定日:2020/05/02
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スイはメノウの瞳をのぞき込んだ。
「お前はどう思う?」
「僕はね」
メノウはにっこり微笑んだ。
「リザレス王は現実主義者なんじゃないかと思っているんだ。だからこそマーラルが兵器を開発していると聞いて兵器を作らせた。だから、兵器を引き渡すことで里から魔珠が供給されるのであれば、兵器を手元に置いておくことにこだわらないと思うんだ」
メノウの読みは正しい。リザレス王エトはそういう人だ。
「ただね、陛下の周りにはせっかく作った兵器を手放したくないって思う人もいるんじゃないかって思うんだ」
「そういう勢力が現れたら、そのときにつぶせばいい」
スイの頭にあったのはレヴィリン。だが、他にもエトの周りにそのように考えている人間がいる可能性は大いにある。魔術兵器の開発などという思い切ったことが実現できたのは、兵器の保有に肯定的なものが少なからず王の取り巻きにいたからに違いないからだ。
「そうか。そこまで考えてくれていたんだね。でもね」
メノウは意地の悪い笑いを浮かべた。
「本当にリザレスの魔術兵器はマーラル侵攻の抑止力として働くと思う?」
すると、スイも苦笑する。
「思わないな」
言い切って続ける。
「里がマーラルへの魔珠の輸出停止を発表する。周辺国のいずれかを攻めて魔珠を確保する。いずれかの国と戦わなければならないのなら、魔術師としての己の力を試してみたいと願ってやまないマーラル王は、ためらうことなく自分に匹敵する大魔術師であるレヴィリンを相手として選ぶ。そのタイミングでリザレスが兵器の保有を宣言したとしてもそれは何の意味もない。魔術兵器も奪えるなら好都合と思うだけだろう。マーラル王はそういうお方だ」
「そうだよね。でも」
メノウの目が意地悪く笑う。
「陛下には教えてあげなかったんだ」
「陛下も兵器に絶対的な信頼を置いているわけではない。戦争を回避するために使える可能性のあるカードの一つに過ぎない。それに」
スイはため息をついた。
「実は、レヴィリン博士とも話をしたのだが」
エトに魔術兵器のことを確認しに行った後のことだ。談話室でレヴィリンにメノウと同じ質問をした。
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