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翌日、確かめておきたいことがあってリザレス国王エトに面会を申し込んだ。エトには魔術研究所で起こったことが全てレヴィリンから報告されていたようで、スイが謁見の間に通されたときも室内は完全に人払いをし、傍らにはレヴィリンがいるだけだった。
簡単に定型の挨拶を済ませ、スイはすぐに本題に入った。
「魔術兵器開発の件、レヴィリン博士からうかがいました」
「そのようだな」
「陛下」
スイは顔を上げて毅然とした目つきでエトを見据えた。
「魔術兵器は同じく魔術兵器を持つマーラルを牽制するために開発するよう命ぜられたとうかがいました。ですが、マーラルの兵器はもう里が押収しました。破棄する、もしくは里に受け渡すという選択肢はないのでしょうか」
「ないな」
横からレヴィリンが口を挟んだ。
「せっかく作ったものをみすみす手放せというのかね、君は」
「ですが、そうすれば、里と今までどおりの関係を続けられます。そして」
スイは国王の方に向き直って訴えた。
「これ以上誰も犠牲にならずに済みます」
「そのとおりだ」
意外な答えが返ってきた。
「だが、今すぐというわけにはいかないのだ。間もなくマーラルは魔珠の輸出停止の措置を取られる。そうなればどうなる?」
キリトとも話した。周辺諸国に侵攻し、略奪することによって魔珠を確保しようとするかもしれない。
「マーラルは優れた魔術部隊を持ち、独自に開発した魔術を駆使して戦うと言われている。戦闘部隊もよく訓練され、魔術兵器がなくとも充分な軍事力があると見ていいだろう。そうなると、魔術兵器は抑止力となりうる」
うつむいていたが、横で勝ち誇ったような笑いを浮かべているレヴィリンがスイは見える。
マーラルが戦争を仕掛けてくるのが先か。リザレスが輸出停止を宣言されるのが先か。
どうなるか分からないが、これがリザレス王の意向だ。リザレスの魔珠担当官である以上、国王の方針を考慮しないわけにはいかない。
「分かりました。最善を尽くします」
言い残して、スイは静かに退室した。
数分後、レヴィリンが退室した。廊下をしばらく歩いて曲がると、階段の前でスイが待っていた。
「博士、うかがいたいことがあるのです」
二人は外務室の近くにある談話室に向かった。
次回更新予定日:2020/03/28
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「魔術兵器開発の件、レヴィリン博士からうかがいました」
「そのようだな」
「陛下」
スイは顔を上げて毅然とした目つきでエトを見据えた。
「魔術兵器は同じく魔術兵器を持つマーラルを牽制するために開発するよう命ぜられたとうかがいました。ですが、マーラルの兵器はもう里が押収しました。破棄する、もしくは里に受け渡すという選択肢はないのでしょうか」
「ないな」
横からレヴィリンが口を挟んだ。
「せっかく作ったものをみすみす手放せというのかね、君は」
「ですが、そうすれば、里と今までどおりの関係を続けられます。そして」
スイは国王の方に向き直って訴えた。
「これ以上誰も犠牲にならずに済みます」
「そのとおりだ」
意外な答えが返ってきた。
「だが、今すぐというわけにはいかないのだ。間もなくマーラルは魔珠の輸出停止の措置を取られる。そうなればどうなる?」
キリトとも話した。周辺諸国に侵攻し、略奪することによって魔珠を確保しようとするかもしれない。
「マーラルは優れた魔術部隊を持ち、独自に開発した魔術を駆使して戦うと言われている。戦闘部隊もよく訓練され、魔術兵器がなくとも充分な軍事力があると見ていいだろう。そうなると、魔術兵器は抑止力となりうる」
うつむいていたが、横で勝ち誇ったような笑いを浮かべているレヴィリンがスイは見える。
マーラルが戦争を仕掛けてくるのが先か。リザレスが輸出停止を宣言されるのが先か。
どうなるか分からないが、これがリザレス王の意向だ。リザレスの魔珠担当官である以上、国王の方針を考慮しないわけにはいかない。
「分かりました。最善を尽くします」
言い残して、スイは静かに退室した。
数分後、レヴィリンが退室した。廊下をしばらく歩いて曲がると、階段の前でスイが待っていた。
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