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「そうだね。スイだったらちゃんと交わせていたね」
短剣に付いた血を拭き取ろうとハンカチを出した。
「私を殺すのではなかったのか?」
訊かれてメノウは力なく笑った。
「無理だよ。殺されるかもしれないと警戒するスイが僕の短剣を交わせないはずないもん」
スイはくすっと笑って手を出した。
「洗おう」
メノウの素直に差し出した短剣を受け取り、短剣と傷口を水で洗った。
「どうしようかな」
メノウが深いため息をつく。
「魔珠の秘密を知ってしまったスイたちを消さなかった僕は里の裏切り者だ。僕は消される」
スイはきれいに拭いて水気を取った短剣をメノウに手渡した。
「メノウ、魔珠の問題は里とリザレスだけの問題じゃない。世界は常に動いている。売人と担当官。交渉して里もリザレスも納得できるような条件を探し出すのが私たちの仕事だろう」
「そうだね。そうだったね」
メノウはスイから返された短剣を鞘に収めた。
「大丈夫だ。交渉の余地はある」
「分かったよ。話をしよう」
二人は笑顔で頷いて元の席に着いた。メノウが初めて茶に手をつける。スイもそれを確認して笑顔になる。
「それでは、まず国王陛下のお考えを聞いてもらおうか」
「ちゃんと話を訊きに行ってくれたんだね。聞かせて」
スイは頷いて話を始めた。
「そもそも兵器の開発は、マーラルが兵器を手にしたとき、容易には侵攻してこないようにするために始まったらしい」
「やっぱりマーラルの兵器開発の情報を受けて始めたんだね」
「そう。そして、陛下は、マーラルの兵器は押収されたが、里が開発を断念させるために魔珠の輸出を停止するのではないかと考えておられる」
「おそらく近日中にね」
「そうなったとき、マーラルは他国に侵攻して魔珠を確保するのではないかと陛下は見ている」
「自然な考え方だね。そのときに兵器を持っていれば、標的がリザレス以外の国になってくれるんじゃないか、ってことかなあ」
「だから、まだ兵器を手放すわけにはいかないのだと」
次回更新予定日:2020/04/25
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「私を殺すのではなかったのか?」
訊かれてメノウは力なく笑った。
「無理だよ。殺されるかもしれないと警戒するスイが僕の短剣を交わせないはずないもん」
スイはくすっと笑って手を出した。
「洗おう」
メノウの素直に差し出した短剣を受け取り、短剣と傷口を水で洗った。
「どうしようかな」
メノウが深いため息をつく。
「魔珠の秘密を知ってしまったスイたちを消さなかった僕は里の裏切り者だ。僕は消される」
スイはきれいに拭いて水気を取った短剣をメノウに手渡した。
「メノウ、魔珠の問題は里とリザレスだけの問題じゃない。世界は常に動いている。売人と担当官。交渉して里もリザレスも納得できるような条件を探し出すのが私たちの仕事だろう」
「そうだね。そうだったね」
メノウはスイから返された短剣を鞘に収めた。
「大丈夫だ。交渉の余地はある」
「分かったよ。話をしよう」
二人は笑顔で頷いて元の席に着いた。メノウが初めて茶に手をつける。スイもそれを確認して笑顔になる。
「それでは、まず国王陛下のお考えを聞いてもらおうか」
「ちゃんと話を訊きに行ってくれたんだね。聞かせて」
スイは頷いて話を始めた。
「そもそも兵器の開発は、マーラルが兵器を手にしたとき、容易には侵攻してこないようにするために始まったらしい」
「やっぱりマーラルの兵器開発の情報を受けて始めたんだね」
「そう。そして、陛下は、マーラルの兵器は押収されたが、里が開発を断念させるために魔珠の輸出を停止するのではないかと考えておられる」
「おそらく近日中にね」
「そうなったとき、マーラルは他国に侵攻して魔珠を確保するのではないかと陛下は見ている」
「自然な考え方だね。そのときに兵器を持っていれば、標的がリザレス以外の国になってくれるんじゃないか、ってことかなあ」
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