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「これで十分ほど疲労感を抑えられる。ただし効果が切れるとその間に消耗した分が一気に来る。その前に君から直接話をしてもらおう。解放の条件は分かっているな?」
「もちろんです」
こちらとしても兵器の存在を口外されては困る。兵器の存在を誰にどう伝えるか判断するのは、魔珠担当官である自分でなければならない。
スイは力の入るようになった身体を起こした。さらりと長い黒髪が背中に落ちる。いつもの凜とした姿勢で立ち上がる。特に違和感はない。
レヴィリンに案内され、先ほどと同じような小部屋に入る。レヴィリンが手をかざすと、足下に先ほどとは違う形状の魔法陣が現れた。すぐに別の小部屋に瞬間移動する。レヴィリンの研究室の隣にあった部屋だ。もう一度魔法陣を切り替えて瞬間移動する。扉を開けると、縄で椅子に身体を縛られたハウルの姿があった。
「レヴィリン博士。それにスイ君」
レヴィリンはすぐに縄を解くように見張りの魔術師たちに命じた。縄を解かれると、ハウルは縄の痕のついた手首に触れ、感覚を確かめるように手を閉じて開いた。見張りの魔術師たちはレヴィリンに指示されたようにハウルの前と正面の壁際に椅子を一つずつ置いて部屋から出ていった。
スイは用意してもらった椅子に腰かけてハウルの目を真っ直ぐ見た。すっかりくたびれた様子のハウルではあったが、それでも力強い眼差しでスイと目を合わせようと努力してくれた。スイは毅然とした態度で話し始めた。
「兵器の話、博士からうかがいました」
ハウルは少し驚いたような表情を見せたが、すぐにほっと息をついた。
「ハウルさん」
強い調子で言われてハウルは顔を上げる。スイは視線をそらさず、突き刺すような目でハウルに語りかけた。
「この情報をどうするかは、魔珠担当官である私に判断させていただきたいのです」
「もちろんだ」
ハウルは微笑んだ。
「君なら信用できる。君に任せるよ」
スイは力強く頷いた。不安はある。まだこの情報をどうするのか迷っている。だが、他の誰かに任せるわけにはいかない。自分が決めないといけないのだから。
「では、見送るかね?」
「はい」
「見送る?」
ハウルが少し怪訝そうな顔をした。スイはにっこり笑って説明した。
「私はここで博士の実験を見学させていただけることになったので、まだ数日ここにいます。ですから、お見送りだけになりますが」
次回更新予定日:2020/01/25
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「もちろんです」
こちらとしても兵器の存在を口外されては困る。兵器の存在を誰にどう伝えるか判断するのは、魔珠担当官である自分でなければならない。
スイは力の入るようになった身体を起こした。さらりと長い黒髪が背中に落ちる。いつもの凜とした姿勢で立ち上がる。特に違和感はない。
レヴィリンに案内され、先ほどと同じような小部屋に入る。レヴィリンが手をかざすと、足下に先ほどとは違う形状の魔法陣が現れた。すぐに別の小部屋に瞬間移動する。レヴィリンの研究室の隣にあった部屋だ。もう一度魔法陣を切り替えて瞬間移動する。扉を開けると、縄で椅子に身体を縛られたハウルの姿があった。
「レヴィリン博士。それにスイ君」
レヴィリンはすぐに縄を解くように見張りの魔術師たちに命じた。縄を解かれると、ハウルは縄の痕のついた手首に触れ、感覚を確かめるように手を閉じて開いた。見張りの魔術師たちはレヴィリンに指示されたようにハウルの前と正面の壁際に椅子を一つずつ置いて部屋から出ていった。
スイは用意してもらった椅子に腰かけてハウルの目を真っ直ぐ見た。すっかりくたびれた様子のハウルではあったが、それでも力強い眼差しでスイと目を合わせようと努力してくれた。スイは毅然とした態度で話し始めた。
「兵器の話、博士からうかがいました」
ハウルは少し驚いたような表情を見せたが、すぐにほっと息をついた。
「ハウルさん」
強い調子で言われてハウルは顔を上げる。スイは視線をそらさず、突き刺すような目でハウルに語りかけた。
「この情報をどうするかは、魔珠担当官である私に判断させていただきたいのです」
「もちろんだ」
ハウルは微笑んだ。
「君なら信用できる。君に任せるよ」
スイは力強く頷いた。不安はある。まだこの情報をどうするのか迷っている。だが、他の誰かに任せるわけにはいかない。自分が決めないといけないのだから。
「では、見送るかね?」
「はい」
「見送る?」
ハウルが少し怪訝そうな顔をした。スイはにっこり笑って説明した。
「私はここで博士の実験を見学させていただけることになったので、まだ数日ここにいます。ですから、お見送りだけになりますが」
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