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レヴィリンが異常に気づいて中断する。表情は至って冷静だ。ローブを脱がせ、まだ光を蓄えたままの呪術の痕に手を当て、魔力を注ぎ込む。スイが背中を反らせて絶叫したが、すぐに光が弱くなる。
「呪術の効果を一時的に弱めた。これで少しは楽になるだろう」
反応もできないくらい息が乱れていた。真っ直ぐ仰向けに横たわっていたはずの身体は右を向いてすっかりよじれていた。目も開けられない状態だったが、レヴィリンはすぐに魔法陣から出た。
「続けるぞ」
魔珠が魔力を吸収し始めると、中断されていた苦痛が戻ってきた。だが、呪術による苦痛が弱まった分、何とか耐えられそうな気がしてきた。スイはできる限り深く息を吸った。呼吸がそれで整ったわけではないが、その勢いでうっすらと目を開けた。何でもいいから何かきっかけが必要だった。開けたばかりの目に魔法陣の光が飛び込んできた。先ほどまで透明だったシールドが青白い光を帯びている。あれがおそらく魔珠から放出されたエネルギーだ。そう思ったとき、急に激痛が訪れた。きっと重要な情報が一つ手に入って気が緩んだのだろう。スイは歯を食いしばって何とか目を閉じないように粘った。目だけはしっかり開けて見なければ。
時間の感覚もなるべく維持しようと努めてはいたが、ちょっと自信がない。だが、そんなに長い時間ではなかったはずだ。せいぜい五分といったところだろう。放出されるエネルギー量が少なくなり、すうっと消えた。レヴィリンは魔力の注入をやめて右手をかざした。シールドの光がレヴィリンの右手に吸い込まれていく。苦痛から急に解放されて安心した勢いで意識がぐらつく。必死になってつなぎ止めようとしたが、ここまでだった。
うめき声が聞こえてレヴィリンはベッドの方に駆け寄った。ブランケットをはねのけると、スイの呪術の痕が強い光を放っている。苦しそうに目を開いて助けを求めるように手を伸ばそうとしていた。レヴィリンはスイの胸に手を当て、先ほどと同じ要領で苦痛を和らげる。それに反応するように光は弱まり、見えなくなっていった。呪術の効果は完全に消えたわけではなく、スイは苦しそうに自分の手で胸を押さえた。
「博士」
息も途切れ途切れにスイが口を開く。
「無理をするな。もう少し呼吸が整うのを待った方が良い」
諭されてスイは素直に従った。慌てても仕方がない。
しばらく全身の力を抜いて身体に苦痛への反応を任せていると、苦痛が我慢できるレベルになってきた。様子をうかがっていたレヴィリンももう大丈夫だと判断したらしく、机に置いてあったものを大切そうに握りしめて持ってきた。
「私がこの手にエネルギーを集めたところ辺りまでは記憶があるか?」
スイは静かに頷いた。
次回更新予定日:2020/01/11
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「呪術の効果を一時的に弱めた。これで少しは楽になるだろう」
反応もできないくらい息が乱れていた。真っ直ぐ仰向けに横たわっていたはずの身体は右を向いてすっかりよじれていた。目も開けられない状態だったが、レヴィリンはすぐに魔法陣から出た。
「続けるぞ」
魔珠が魔力を吸収し始めると、中断されていた苦痛が戻ってきた。だが、呪術による苦痛が弱まった分、何とか耐えられそうな気がしてきた。スイはできる限り深く息を吸った。呼吸がそれで整ったわけではないが、その勢いでうっすらと目を開けた。何でもいいから何かきっかけが必要だった。開けたばかりの目に魔法陣の光が飛び込んできた。先ほどまで透明だったシールドが青白い光を帯びている。あれがおそらく魔珠から放出されたエネルギーだ。そう思ったとき、急に激痛が訪れた。きっと重要な情報が一つ手に入って気が緩んだのだろう。スイは歯を食いしばって何とか目を閉じないように粘った。目だけはしっかり開けて見なければ。
時間の感覚もなるべく維持しようと努めてはいたが、ちょっと自信がない。だが、そんなに長い時間ではなかったはずだ。せいぜい五分といったところだろう。放出されるエネルギー量が少なくなり、すうっと消えた。レヴィリンは魔力の注入をやめて右手をかざした。シールドの光がレヴィリンの右手に吸い込まれていく。苦痛から急に解放されて安心した勢いで意識がぐらつく。必死になってつなぎ止めようとしたが、ここまでだった。
うめき声が聞こえてレヴィリンはベッドの方に駆け寄った。ブランケットをはねのけると、スイの呪術の痕が強い光を放っている。苦しそうに目を開いて助けを求めるように手を伸ばそうとしていた。レヴィリンはスイの胸に手を当て、先ほどと同じ要領で苦痛を和らげる。それに反応するように光は弱まり、見えなくなっていった。呪術の効果は完全に消えたわけではなく、スイは苦しそうに自分の手で胸を押さえた。
「博士」
息も途切れ途切れにスイが口を開く。
「無理をするな。もう少し呼吸が整うのを待った方が良い」
諭されてスイは素直に従った。慌てても仕方がない。
しばらく全身の力を抜いて身体に苦痛への反応を任せていると、苦痛が我慢できるレベルになってきた。様子をうかがっていたレヴィリンももう大丈夫だと判断したらしく、机に置いてあったものを大切そうに握りしめて持ってきた。
「私がこの手にエネルギーを集めたところ辺りまでは記憶があるか?」
スイは静かに頷いた。
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