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「その理論を使うと、リザレスの輸入量でも充分に開発ができるんだ」
「どうやって?」
「方法はいろいろある。どんな方法でやっているのかまでは分からない。もっともそれを調べたくて来たんだけど」
今度はスイの方が少し考え込んだ。何秒かの沈黙の間に情報を整理し、スイはやっと口を開いた。
「その調査、私に任せてもらえないか?」
メノウは顔を上げた。
「研究所に出入りするにも時々利用していて身分のはっきりしている私の方が動きやすい。それに」
スイはきりっとした目でメノウを見つめた。
「失踪した知人はリザレスが兵器を開発していることを示す資料を見たらしい」
「じゃあ、その人は」
「口封じのために連れ去られたのかもしれない」
驚いたような表情をしていたメノウだったが、すぐに冷静になってスイの目を真っ直ぐ見た。強い眼差しだった。
「分かった。君に任せよう」
すると、スイはにっこり笑った。
「ありがとう」
「信じてるよ」
メノウも笑顔になる。
この笑顔のためにがんばろうと誓った。ずっとそうありたいと願ってきた。
今回も力になりたい。メノウのためにできることがあるなら、何でもやってのけたい。
「泊まっていくだろう?」
席を立ちながら、いつものようにスイは訊いた。訊いたというより確認したつもりだった。だが、メノウは首を横に振った。
「今日は君に話を聞こうと思って寄っただけなんだ。今聞けるだけの情報は聞けたから、今日はもう帰るよ」
初めてだった。メノウが泊まっていかないなんて。笑顔を浮かべているが、どこか影がある。何か努めて距離を置こうとしているように見える。あくまでもメノウは里の人間、スイはリザレスの人間。調査の結果や成り行きによってはリザレス、あるいはスイに厳しく対処するように求められる。先ほどの「信じてる」はメノウにとって願望なのかもしれない。
裏切りたくない。メノウの期待を踏みにじるような真似はしたくない。メノウの支えになりたくて魔珠担当官になったのだから。
次回更新予定日:2019/10/12
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「方法はいろいろある。どんな方法でやっているのかまでは分からない。もっともそれを調べたくて来たんだけど」
今度はスイの方が少し考え込んだ。何秒かの沈黙の間に情報を整理し、スイはやっと口を開いた。
「その調査、私に任せてもらえないか?」
メノウは顔を上げた。
「研究所に出入りするにも時々利用していて身分のはっきりしている私の方が動きやすい。それに」
スイはきりっとした目でメノウを見つめた。
「失踪した知人はリザレスが兵器を開発していることを示す資料を見たらしい」
「じゃあ、その人は」
「口封じのために連れ去られたのかもしれない」
驚いたような表情をしていたメノウだったが、すぐに冷静になってスイの目を真っ直ぐ見た。強い眼差しだった。
「分かった。君に任せよう」
すると、スイはにっこり笑った。
「ありがとう」
「信じてるよ」
メノウも笑顔になる。
この笑顔のためにがんばろうと誓った。ずっとそうありたいと願ってきた。
今回も力になりたい。メノウのためにできることがあるなら、何でもやってのけたい。
「泊まっていくだろう?」
席を立ちながら、いつものようにスイは訊いた。訊いたというより確認したつもりだった。だが、メノウは首を横に振った。
「今日は君に話を聞こうと思って寄っただけなんだ。今聞けるだけの情報は聞けたから、今日はもう帰るよ」
初めてだった。メノウが泊まっていかないなんて。笑顔を浮かべているが、どこか影がある。何か努めて距離を置こうとしているように見える。あくまでもメノウは里の人間、スイはリザレスの人間。調査の結果や成り行きによってはリザレス、あるいはスイに厳しく対処するように求められる。先ほどの「信じてる」はメノウにとって願望なのかもしれない。
裏切りたくない。メノウの期待を踏みにじるような真似はしたくない。メノウの支えになりたくて魔珠担当官になったのだから。
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