魔珠 第6章 疑惑(7) ハウルの手紙2 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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「つまり、リザレスの魔術兵器開発の事実をお前に伝えに行こうとしたハウルさんが研究所サイドの人間に拉致されたってことだな」
 キリトがため息をつく。
「それにしても驚いた。まさかリザレスで兵器が開発されていたなんて」
「研究所には度々査察に入るのだが。リザレスの研究所にも隠された空間があって、そこで開発を行っているのだろうか」
 スイががくっと肩を落とす。その事実を見破れなかったショックは大きい。メノウの助けになるたいとただそれだけを願って今の自分にたどり着いたのに。
「メノウに会わせる顔がないな」
 マーラルのことばかり追いかけて自国のことが見えていなかったなんて。スイは自嘲した。珍しくいちばん落ち込んでいるときの顔だ。気づいたキリトがぽんとスイの肩に手を載せる。
「事実関係を調べもしないで。らしくないぞ」
 指摘されてスイは考え直す。なぜ研究所はスイを欺くことができたのか。兵器を開発していないと判断していたのには根拠がある。そもそもできるはずがないのだ。
「ここ数年魔珠の輸入量は全く増えていないのに」
 兵器を作るには、今の輸入量の魔珠では全然足りない。マーラルのように国民の使用分から搾り取っているわけでもなく、余剰分を何年分かストックしておいたのだとしても、それは年間使用量を考えると、ごく微量でしかありえず、数年確保したところで兵器に必要な量には到底達しない。ぐるぐると思考を巡らせていると、肩にぎゅっと力を込められて軽く揺すられた。
「調べて裏を取るんだ。管轄外のことだから、できることは少ないかもしれないけど、できるかぎり俺も協力する」
 キリトに言われてスイの表情が柔らかくなる。
「ありがとう。とりあえずまずはアリサさんと子どもたちの安全を確保しよう」
「そうだな。その方が安心だ」
 具体的な話をするとなると、切り替えは早い。
 スイはキリトに手短に二時頃に来てもらい、夕食会、その後宿泊してもらうように打ち合わせたことを説明した。

次回更新予定日:2019/09/14

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