魔珠 第2章 尾行(6) 出発準備 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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「で、具体的にどうするんだ?」
 聞かれてスイは地図を広げた。
「国内で捕らえようと思う」
「うん。それがいい。何かあったらこちらで何とかできる」
 意図が正確に伝わっていると確認して、スイは頷いた。
「明日出発して、三日目にスフィア山脈の森林地帯で捕らえる」
「スフィア山脈までのルートは?」
「メノウはパヴェで一泊してアレアから登山。私はイシスからアレアに向かう」
 イシスはパヴェより少し北東の位置にある町だ。距離的にはパヴェよりもあるが、イシスには別の街道が通っていて、それなりに土地勘のあり、馬の扱いが得意なすいなら日が暮れるまでに到着することはできるだろう。イシスからアレアまでも街道というほど整備されてはいないものの、馬が一頭難なく通れる程度の道は続いている。
「了解」
 キリトがスイの指先から視線を外して立ち上がる。
「あまり長居しているようだったら迎えに行くからな。無茶はするなよ」
「分かってる。ありがとう」
 価値のある作戦ではあるが、無茶をして生け捕りにしなくても尾行を追い払うだけでもそれなりの成果はある。
 スイは肩の力を抜いて笑顔を返した。

 正午過ぎにスイは私邸に戻った。
「どうだった?」
 待っていたメノウが訊きに来た。
「了承してもらえた。予定どおり行こう」
「分かった。まず確実に追いかけてきてもらうには馬を予約しに行かないとね」
 メノウは追っ手を生け捕りにする気満々だ。
 クラークは王都なので、当然行き来する旅人も多い。馬屋は北門、西門、南門の三箇所にあり、敷地も広く、馬の数も多い。予約をしなくても借りられる馬がない、ということはないが、気に入った馬をあらかじめ選んでキープしてもらうこともできるのと、手続きを先に済ませておけばすぐに出発できるということで、予約をする人も少なくない。メノウの行動自体はそう目立つ行動でもない。
「午後行くよ」
 勢いに押され気味のスイは苦笑するしかなかった。
「仕方ないな。ちゃんと尾行されているか見ておくことにしよう」
「よろしくね」
 そのとき、シェリスがいつでも昼食にできると伝えに来た。二人とも早起きして空腹だったので、すぐに用意してもらうことにした。

次回更新予定日:2018/12/01

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