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アレアの町に着いた。まだメノウたちは到着していない。先に宿を取り、準備をして部屋にこもる。メノウたちが来たら、なるべく部屋から出ないようにしたい。
一時間半ほどして日が暮れ始めると、メノウが宿屋に到着した。部屋の鍵を受け取ると、そのまま荷物だけ置いてすぐに宿屋から出ていった。町を散策するつもりなのだろう。スイとしても宿屋にいられるよりは尾行の目が外に向いてくれた方がやりやすい。
メノウは七時頃にまた部屋に戻ったが、散策の途中で買い足した食料を置いてまた外に出た。夕食に行ったのだろう。今晩はもうこの宿に泊まると決まっているのだから、その必要もなさそうなものだが、尾行もまだメノウを追うつもりのようで、宿屋に入っていない。
三十分ほどして、尾行が宿屋に姿を現した。ここで初めて宿を取り、部屋に入った。二階の階段にいちばん近い部屋だ。階段の横は足音がしてうるさい。一般の宿泊客には人気のない部屋だが、階段は一箇所で、必ずここが通り道になるので、メノウを監視するにはベストポジションだ。
メノウは九時頃帰ってきた。酒場にでも行って話の合う客を見つけたのだろう。その後、一時間ほどして消灯した。
寒い朝だった。やはりアレアはクラークよりも暖かくなるのが遅い。
メノウは宿屋の一階で軽い朝食を取ると、素速く荷物をまとめ、マントを羽織って出ていった。尾行もすぐ後を追う。
少し間を空けてスイも出発する。尾行を見失わないぎりぎりの距離を歩く。
この日も旅人がよく出発する時間に宿を出たので、町を出るときは少しは他の旅人もいた。スフィア山脈はまだ雪が溶けた直後で、人通りがそれほど多くない。商人たちが頻繁に行き来し始めるのはもう半月ほど先だ。
ゆっくりと山道を登っていく。だんだん道が細くなり、傾斜のある場所が増えていく。一時間ほど歩くと、小さな村があって、そこで他の旅人の姿がなくなった。村が最終目的地だったか、もしくは休憩を取るのだろう。メノウはそのままさらに細くなった山道を歩き始めた。しばらくすると、道は針葉樹林に入った。
見通しは悪いが、尾行する側にとっては好都合である。尾行は少し距離を取って、針葉樹の間に身を隠すように歩きながらメノウをつけた。スイはもう最初から山道から逸れ、針葉樹の間を通り抜けながら、メノウを観察した。
メノウが不意に脇道に逸れる。この先には小さな集落があった。尾行も脇道に入る。すると、急にメノウが林の方に入っていった。尾行も林に入って見失わないように距離を詰める。
メノウが走り出す。尾行も後を追って走ったが、メノウはすばしっこく木と木の間を複雑な曲線を描きながら駆け抜けていく。
気づかれたか。
このままでは見失う。尾行がそう思ったとき、背後で枝の折れる大きな音がした。振り返ろうとしたが、それよりも先に凄まじい力で首が締めつけられた。目を開けると、銀色の短剣が真っ直ぐこちらを向いている。短剣を握っているのは今まで追いかけていたメノウだ。
次回更新予定日:2018/12/15
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一時間半ほどして日が暮れ始めると、メノウが宿屋に到着した。部屋の鍵を受け取ると、そのまま荷物だけ置いてすぐに宿屋から出ていった。町を散策するつもりなのだろう。スイとしても宿屋にいられるよりは尾行の目が外に向いてくれた方がやりやすい。
メノウは七時頃にまた部屋に戻ったが、散策の途中で買い足した食料を置いてまた外に出た。夕食に行ったのだろう。今晩はもうこの宿に泊まると決まっているのだから、その必要もなさそうなものだが、尾行もまだメノウを追うつもりのようで、宿屋に入っていない。
三十分ほどして、尾行が宿屋に姿を現した。ここで初めて宿を取り、部屋に入った。二階の階段にいちばん近い部屋だ。階段の横は足音がしてうるさい。一般の宿泊客には人気のない部屋だが、階段は一箇所で、必ずここが通り道になるので、メノウを監視するにはベストポジションだ。
メノウは九時頃帰ってきた。酒場にでも行って話の合う客を見つけたのだろう。その後、一時間ほどして消灯した。
寒い朝だった。やはりアレアはクラークよりも暖かくなるのが遅い。
メノウは宿屋の一階で軽い朝食を取ると、素速く荷物をまとめ、マントを羽織って出ていった。尾行もすぐ後を追う。
少し間を空けてスイも出発する。尾行を見失わないぎりぎりの距離を歩く。
この日も旅人がよく出発する時間に宿を出たので、町を出るときは少しは他の旅人もいた。スフィア山脈はまだ雪が溶けた直後で、人通りがそれほど多くない。商人たちが頻繁に行き来し始めるのはもう半月ほど先だ。
ゆっくりと山道を登っていく。だんだん道が細くなり、傾斜のある場所が増えていく。一時間ほど歩くと、小さな村があって、そこで他の旅人の姿がなくなった。村が最終目的地だったか、もしくは休憩を取るのだろう。メノウはそのままさらに細くなった山道を歩き始めた。しばらくすると、道は針葉樹林に入った。
見通しは悪いが、尾行する側にとっては好都合である。尾行は少し距離を取って、針葉樹の間に身を隠すように歩きながらメノウをつけた。スイはもう最初から山道から逸れ、針葉樹の間を通り抜けながら、メノウを観察した。
メノウが不意に脇道に逸れる。この先には小さな集落があった。尾行も脇道に入る。すると、急にメノウが林の方に入っていった。尾行も林に入って見失わないように距離を詰める。
メノウが走り出す。尾行も後を追って走ったが、メノウはすばしっこく木と木の間を複雑な曲線を描きながら駆け抜けていく。
気づかれたか。
このままでは見失う。尾行がそう思ったとき、背後で枝の折れる大きな音がした。振り返ろうとしたが、それよりも先に凄まじい力で首が締めつけられた。目を開けると、銀色の短剣が真っ直ぐこちらを向いている。短剣を握っているのは今まで追いかけていたメノウだ。
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