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予想どおりの回答だった。
魔珠の話が終わると、いつも二人はすぐに中庭に向かうのだ。
スイとメノウは青々と茂った芝生に並んで寝転んだ。
「いい大人が何やってんだか」
メノウが笑う。
「でも、ここにお前といるのがいちばん落ち着く」
限りなく続く空の青を見る。昔と同じように無限の持つ不思議な魅力に取りつかれる。
「変わらないね、スイは」
ちらりと横に首を動かすと、メノウも同じように空を見ている。
「メノウだって」
「いや、僕は」
言いかけて、メノウは口をつぐんでしまった。少し悲しげな表情になる。
「僕は、大人になりたくなかったんだなあ」
まだ少年のような話し方をするのもそのせいなのかもしれない。
「ごめん。スイみたいな立派な大人にこんな話したら笑われるね」
「いや、私はまだ未熟だ。父のような落ち着きのある人間には一生かかってもなれそうもない」
「見かけ倒し?」
メノウがくすっと笑う。
ローブと長髪という姿で静かに歩くスイは、確かに落ち着きがあるように見えるのかもしれない。余裕のある仕草には色香さえ漂う。大人になったからではなく、子どものときからそうだった。あまり抑揚のない話し方も冷静そうに見える要因かもしれない。だが、実際はキリトに密偵を派遣してもらうたびに自分の目で確かめたいという衝動が抑えられない。自分で動きたい性分なのだ。自分からは言わないが、長いつき合いのキリトはそれをよく分かっていて「今回だけは」とスイが思っているときには必ずそれを察して留守を引き受けてくれる。外務室長がキリトで本当に良かったと思う。
港に着くと、メノウは早速決済の手続きをしに行った。船の出る前の為替所には列ができる。用のないスイはいつものとおり建物の脇のベンチでメノウが出てくるのを待っていた。メノウが出てくるまでに客が五人ほど為替所に入っていった。
「お待たせ」
しばらくすると、メノウが姿を現した。
「風が気持ちいいね」
メノウが伸びをする。
「もう船に乗った方がいいかな?」
メノウに訊かれて、スイは時計を確認する。
次回更新予定日:2018/09/01
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スイとメノウは青々と茂った芝生に並んで寝転んだ。
「いい大人が何やってんだか」
メノウが笑う。
「でも、ここにお前といるのがいちばん落ち着く」
限りなく続く空の青を見る。昔と同じように無限の持つ不思議な魅力に取りつかれる。
「変わらないね、スイは」
ちらりと横に首を動かすと、メノウも同じように空を見ている。
「メノウだって」
「いや、僕は」
言いかけて、メノウは口をつぐんでしまった。少し悲しげな表情になる。
「僕は、大人になりたくなかったんだなあ」
まだ少年のような話し方をするのもそのせいなのかもしれない。
「ごめん。スイみたいな立派な大人にこんな話したら笑われるね」
「いや、私はまだ未熟だ。父のような落ち着きのある人間には一生かかってもなれそうもない」
「見かけ倒し?」
メノウがくすっと笑う。
ローブと長髪という姿で静かに歩くスイは、確かに落ち着きがあるように見えるのかもしれない。余裕のある仕草には色香さえ漂う。大人になったからではなく、子どものときからそうだった。あまり抑揚のない話し方も冷静そうに見える要因かもしれない。だが、実際はキリトに密偵を派遣してもらうたびに自分の目で確かめたいという衝動が抑えられない。自分で動きたい性分なのだ。自分からは言わないが、長いつき合いのキリトはそれをよく分かっていて「今回だけは」とスイが思っているときには必ずそれを察して留守を引き受けてくれる。外務室長がキリトで本当に良かったと思う。
港に着くと、メノウは早速決済の手続きをしに行った。船の出る前の為替所には列ができる。用のないスイはいつものとおり建物の脇のベンチでメノウが出てくるのを待っていた。メノウが出てくるまでに客が五人ほど為替所に入っていった。
「お待たせ」
しばらくすると、メノウが姿を現した。
「風が気持ちいいね」
メノウが伸びをする。
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