魔珠 第15章 神殿(4) 突入準備 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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「エストル様、神殿内部がどういった造りになっているか覚えておいでですか?」
 透かさずソフィアが尋ねる。すると、エストルはうなずいた。
「神殿内部は極めて単純な造りだ」
 入ってすぐに大広間がある。その奥に廊下があり、両側にいくつもの部屋がある。いちばん手前が階段になっており、地下につながっている。地下はやはり廊下の両側に部屋がいくつもある間取りになっている。一階の廊下の向こうは集会室だ。神殿の神官たちが全員座って神官長の話を聞けるようになっているので、この部屋もかなり広い。その右奥の隅に神官長の執務室がある。そして、集会室の奥の扉の向こうには大きな橋があり、その橋を渡ったところにゲートがある。ゲートの周りは海になっているため、たどり着くにはこの橋を渡るしかない。
「一本道なんですね」
「広い一本道だがな」
 感想を短く述べたグレンに対してエストルが答える。
「突っ込むしかないですね」
 不敵な笑みを浮かべてグレンが大胆な発言をする。
「結論から言うと、そうだな。だが、その前にいちおう分かる範囲で確認をしておこうか」
「それがいい」
 ウィンターが賛成して、腰を下ろす。すると、他の者たちも思い思いの姿勢で座り、その場に落ち着いた。
 エストルは一度全員の顔を順番に見回し、口を開く。
「まず確実に神殿内部にいそうなのは、陛下、それから〈003 告知者〉。この二人は一緒にいると見て間違いないだろう」
「そして、おそらく集会室にいるな」
「だとしたら、大広間はどう利用する?」
 ウィンターの意見にうなずきながら、エストルが問い返す。
「私だったら、敵を少しでも消耗させるために魔獣を放ちますね。先ほどのような強い魔獣ではなく、神殿に何匹も入れるような小型の魔獣を大量に」
「もしくは」
 ソフィアにつけ加えるようにグレンが苦しそうな表情で言う。
「中にいた神官をヴァンパイアにして……」
「私の予想では両方あるな」
 ばっさりとエストルが断言する。こういった現実的な場面では容赦ない推理をする。だが、それが結果として犠牲を最小限に抑える。
「ソードはやはり中にいるのでしょうか?」
「テルウィング側がこのような展開になることを予想していなかったとは思えない。現にここまで実に用意周到に我々を迎え撃っている。このようなとき、ソードがパイヤンを離れるとは考えにくい」
 ソフィアの問いにエストルはさらりと述べる。すると、ウィンターが言った。
「ソードはおそらくムーンホルン王と〈告知者〉の護衛をしていると思う。〈告知者〉は様々な特殊能力を持つが、戦闘能力は他のマスターヴァンパイアと比べてかなり低い」

次回更新予定日:2018/01/20

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