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ドアの前に立ってここで良かっただろうかと少し不安になる。グレンは一度深呼吸して名乗った。
「グレンです」
「入れ」
中からクレサックの声がしてほっと胸を撫で下ろす。
「失礼します」
グレンが部屋に入ると、クレサックが顔を上げた。
「そこに座ってくれ」
席を勧められてグレンは座った。
「実は」
余計な話は一切せず、クレサックは急に切り出した。
「明日から魔獣討伐に行くのだが、一緒に来てくれないか?」
一瞬どういうことか考えたが、クレサックがソフィアと違い、割と直属の部下でない上級兵士を任務に連れて行くことも多いと他の上級兵士たちが話していたのを思い出して、慌てて返事をした。
「は、はい。あの、王騎士の方の任務に参加させていただくのは初めてなのですが」
「大丈夫だ。お前の実力なら充分だ。分かっている情報を説明するぞ」
そういうと、てきぱきと説明を始めた。グレンは聞き逃しがないように注意深く耳を傾けた。
「よし。準備をしてこい。明日の朝、出発するぞ」
「はい。失礼します」
グレンは部屋に戻ると、早速支度に取りかかった。
初めて討伐しに行った魔獣は森の奥に棲む角を持つ魔獣だった。巨大な猛牛といった感じの容姿だった。
「あれか」
身を隠して魔獣を観察する。
「まずは動きを封じる。私が引きつけるから、お前はその間に奴の脚をやれ」
クレサックに指示されてグレンはうなずく。
「準備はいいか? 行くぞ」
クレサックが飛び出すと、一瞬だけタイミングを遅らせてグレンが後ろに回り込んだ。魔獣はすぐにクレサックに気づき、すさまじいスピードで突進してきた。グレンはそのスピードに驚いたが、すぐに集中して相手の動きを捕らえた。素速く剣を抜いて魔獣に飛び込むと、四本の足を立て続けに斬っていく。ばたんと大きな音を立てながら魔獣がくずおれると、クレサックが地を蹴ってジャンプし、背中に剣を突き立てた。切り裂かれた背中から光が溢れ、その光が膨張して魔獣を呑み込んでいった。光は小さくなり、やがて消滅した。そこに魔獣の姿はなかった。
次回更新予定日:2017/04/15
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中からクレサックの声がしてほっと胸を撫で下ろす。
「失礼します」
グレンが部屋に入ると、クレサックが顔を上げた。
「そこに座ってくれ」
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「実は」
余計な話は一切せず、クレサックは急に切り出した。
「明日から魔獣討伐に行くのだが、一緒に来てくれないか?」
一瞬どういうことか考えたが、クレサックがソフィアと違い、割と直属の部下でない上級兵士を任務に連れて行くことも多いと他の上級兵士たちが話していたのを思い出して、慌てて返事をした。
「は、はい。あの、王騎士の方の任務に参加させていただくのは初めてなのですが」
「大丈夫だ。お前の実力なら充分だ。分かっている情報を説明するぞ」
そういうと、てきぱきと説明を始めた。グレンは聞き逃しがないように注意深く耳を傾けた。
「よし。準備をしてこい。明日の朝、出発するぞ」
「はい。失礼します」
グレンは部屋に戻ると、早速支度に取りかかった。
初めて討伐しに行った魔獣は森の奥に棲む角を持つ魔獣だった。巨大な猛牛といった感じの容姿だった。
「あれか」
身を隠して魔獣を観察する。
「まずは動きを封じる。私が引きつけるから、お前はその間に奴の脚をやれ」
クレサックに指示されてグレンはうなずく。
「準備はいいか? 行くぞ」
クレサックが飛び出すと、一瞬だけタイミングを遅らせてグレンが後ろに回り込んだ。魔獣はすぐにクレサックに気づき、すさまじいスピードで突進してきた。グレンはそのスピードに驚いたが、すぐに集中して相手の動きを捕らえた。素速く剣を抜いて魔獣に飛び込むと、四本の足を立て続けに斬っていく。ばたんと大きな音を立てながら魔獣がくずおれると、クレサックが地を蹴ってジャンプし、背中に剣を突き立てた。切り裂かれた背中から光が溢れ、その光が膨張して魔獣を呑み込んでいった。光は小さくなり、やがて消滅した。そこに魔獣の姿はなかった。
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