魔珠 第11章 真相(7) 試される実力 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『魔珠』を連載しています。 前作『ヴィリジアン』も公開しています。
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クレサックは他の兵士たちが一ヶ所に固まって充分なスペースが確保できたことを確認すると、結界を張った。
「来い」
 クレサックに言われてグレンは仕掛ける。助走をつけてクレサックに飛びかかる。
「いいぞ」
 クレサックは手応えのある一撃を賞賛しながらはねのけたが、容赦なくすぐに次の一撃が来る。スピードもなかなかのものだ。クレサックも素速く対応して次々と襲いかかるグレンの刃を退けていく。渾身の力で大きく最後の一撃を払いのけると、クレサックは後退して距離を開き、ダイナミックな動作で空を斬った。すさまじいスピードで飛んできた閃光をグレンが剣で払いのけると、大きな爆発音がした。見ていた上級兵士たちが感嘆の声を上げる。
「見たか。クレサック将軍の攻撃を軽々と跳ね飛ばしたぞ」
 グレンも大地を蹴って走り出し、剣で閃光を描いてクレサックに飛ばした。クレサックは素速く閃光をはねのけたが、先ほどに匹敵するほどの爆発音がした。しかもその後も爆発は小さくなったが、二回立て続けに閃光が飛び、距離が詰まると、グレンの剣がクレサックの剣を突き飛ばしに来た。クレサックは思い切りぶつかってその反動でもう一度大きく後退した。グレンもかなりの衝撃を受けたらしく、かなり遠くに着地した。ひと呼吸置こうと思ってクレサックは珍しく息が弾んでいるのに気づく。
「やるな」
 口にした瞬間、またグレンの攻撃が飛んできた。とっさにこの若い上級兵士はどこまでできるのか試してみたくなって本気でぶつかってみる。全力で魔力をグレンに向かって放つと、クレサックはグレンの攻撃を交わした。つもりだったが、着地すると、左腕に赤い線が一筋入っていた。正面から爆音が聞こえた。砂埃が飛び散り、前がよく見えない。腕の傷をかばい、しばらく目を凝らしていると、ようやく砂が落ち、結界にもたれかかってぐったりとなっているグレンの姿が見えた。
「大丈夫か?」
 クレサックが駆け寄ると、グレンは目を開けた。
「あ、はい。ちょっと……背中を、打ったようです」
 身を起こそうとしたが、ぐらついた。クレサックは慌ててグレンの体を支える。
「やり過ぎたか?」
 クレサックが苦い顔をする。だが、グレンは穏やかな微笑みで返した。
「大丈夫です。それよりも、将軍。腕、出血されてますね。手当てさせてください」
「いや。これくらい大したことない」
「困ります。将軍は大事な任務があるのに、私が怪我を負わせてそのままでは申し訳が立ちません」
 お前だって仕事があるだろうと苦笑しながらもクレサックは左腕を出した。せっかくの機会なので、グレンの治癒の腕も見ておこうと思ったのだ。グレンが傷口に手を当て、光が現れた途端、クレサックは驚きで声が出なくなった。なんて優しくて暖かい光。

次回更新予定日:2017/03/25

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