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「同期?」
若いとは思っていたが、エストルと同期とは。やはりあの青年、ただ者ではない。
「よく手合わせしてもらった。一度も勝てなかったがな」
グレンの話をするエストルはいつもとは違って柔らかい表情をしていた。その理由がクレサックには何となく分かった。グレンにはそういう力があるのだ。
「エストル様、先日、王騎士の職を辞して、シャロンの指導をしたいと申したこと、覚えておいでですよね」
「もちろんだ」
「王騎士の職、グレンに継いでもらってはいかがでしょうか?」
全く考えていなかった。こんなことになるなんて。
「実力は充分です。何ヶ月か訓練すれば、王騎士としてやっていけます。それに」
クレサックは静かに言った。
「ヴィリジアンの瞳を持っています」
一週間ほどしてからだった。いつも通り早朝の素振り程度の訓練を終えて、兵舎の玄関を通って一旦部屋に戻ろうとすると、管理人に手紙を渡された。グレンは立ち止まって封を開いた。読み終わってカードを封筒に入れようとすると、後ろから声がした。
「お誘いか?」
振り返ると、デュランがいた。もともと誰にでも気さくに話しかけるタイプらしく、グレンが上級兵士になっていちばん最初に話しかけてくれたのもデュランだった。だから、上級兵士の中でもいちばん最初に名前を覚えた。
「また人の手紙のぞいて」
さらに後ろからクレッチがやってくる。クレッチはデュランのようににぎやかな性格ではないが、いつもデュランと一緒にいて、時々はめを外すデュランのブレーキ役である。
「いいか、グレン。ここでは手紙の封は必ず自室に戻ってから開けるんだ。そうしないと、全部デュランに筒抜けだぞ」
「いいじゃないか。あんな驚いた顔してたら誰だって見たくなるだろ」
そんなに驚いた顔をしていたのだろうか。
「それに、クレサック将軍がそんな細かいこと気になさらないって」
「それはそうだけど」
クレッチがぶつぶつ言っていたが、デュランは全く聞いていない。
「じゃあな」
「おい、こら、待て」
グレンは二人を何となく見送った。
次回更新予定日:2017/04/08
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若いとは思っていたが、エストルと同期とは。やはりあの青年、ただ者ではない。
「よく手合わせしてもらった。一度も勝てなかったがな」
グレンの話をするエストルはいつもとは違って柔らかい表情をしていた。その理由がクレサックには何となく分かった。グレンにはそういう力があるのだ。
「エストル様、先日、王騎士の職を辞して、シャロンの指導をしたいと申したこと、覚えておいでですよね」
「もちろんだ」
「王騎士の職、グレンに継いでもらってはいかがでしょうか?」
全く考えていなかった。こんなことになるなんて。
「実力は充分です。何ヶ月か訓練すれば、王騎士としてやっていけます。それに」
クレサックは静かに言った。
「ヴィリジアンの瞳を持っています」
一週間ほどしてからだった。いつも通り早朝の素振り程度の訓練を終えて、兵舎の玄関を通って一旦部屋に戻ろうとすると、管理人に手紙を渡された。グレンは立ち止まって封を開いた。読み終わってカードを封筒に入れようとすると、後ろから声がした。
「お誘いか?」
振り返ると、デュランがいた。もともと誰にでも気さくに話しかけるタイプらしく、グレンが上級兵士になっていちばん最初に話しかけてくれたのもデュランだった。だから、上級兵士の中でもいちばん最初に名前を覚えた。
「また人の手紙のぞいて」
さらに後ろからクレッチがやってくる。クレッチはデュランのようににぎやかな性格ではないが、いつもデュランと一緒にいて、時々はめを外すデュランのブレーキ役である。
「いいか、グレン。ここでは手紙の封は必ず自室に戻ってから開けるんだ。そうしないと、全部デュランに筒抜けだぞ」
「いいじゃないか。あんな驚いた顔してたら誰だって見たくなるだろ」
そんなに驚いた顔をしていたのだろうか。
「それに、クレサック将軍がそんな細かいこと気になさらないって」
「それはそうだけど」
クレッチがぶつぶつ言っていたが、デュランは全く聞いていない。
「じゃあな」
「おい、こら、待て」
グレンは二人を何となく見送った。
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