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「何ともないですか?」
あっという間に治癒は完了していた。この若者の剣裁きにも魔力にも驚いたが、治癒魔法の能力は格別だった。王騎士の中でもこれほどの治癒魔法の使い手はいない。
「良い魔力を持っているな」
「ありがとうございます」
クレサックが率直な印象を述べると、グレンは嬉しそうに礼を言った。屈託のない笑顔だった。
「お前、しばらく立てないだろう」
「衝撃がとても大きかったので。少し休んで立てるようになってから動きます」
「すまないな。あまりにも強いので、ついつい実力を試したくなってしまった」
「いえ。王騎士の方に一対一で相手をしていただけるなんて。本当にありがとうございました」
「ああ。またぜひ相手になってくれ」
グレンの笑顔を見ていると、自然に笑顔がこぼれてきた。何だろう。この青年は不思議な力を持っている。
クレサックは心地よい疲れを感じながら自室に戻った。
午後、謁見室で国王から新たな任務を命じられ、詳細を聞くためにエストルの執務室にいた。
「今、分かっている魔獣の情報はこんなものだ。何か質問はあるか?」
一通り説明を終えたエストルがクレサックに尋ねた。
「いえ。特にありません。ところで、エストル様」
クレサックが話を切り出す。
「今朝、久しぶりに上級兵士たちと手合わせしてきました」
「そうか。皆の腕は上がっていたか?」
「はい。皆、上達していました。ですが、一人見たことのない顔がいましてね。まだ上級兵士になって日が浅いと行っていましたが、やたらと強いのです」
エストルは興味を惹かれたらしく真剣な表情になった。
「一対一で手合わせしてみましたが、いい相手になりましたよ」
「何? 王騎士と互角で戦ったというのか?」
「はい。グレンという者なのですが、ご存じですか?」
エストルは一瞬驚いた表情をしたが、だんだん笑いが込み上げてきて、耐えきれなくなってにやりと微笑した。
「グレンか。ああ。よく知っている。士官学校で同期だった」
次回更新予定日:2017/04/01
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あっという間に治癒は完了していた。この若者の剣裁きにも魔力にも驚いたが、治癒魔法の能力は格別だった。王騎士の中でもこれほどの治癒魔法の使い手はいない。
「良い魔力を持っているな」
「ありがとうございます」
クレサックが率直な印象を述べると、グレンは嬉しそうに礼を言った。屈託のない笑顔だった。
「お前、しばらく立てないだろう」
「衝撃がとても大きかったので。少し休んで立てるようになってから動きます」
「すまないな。あまりにも強いので、ついつい実力を試したくなってしまった」
「いえ。王騎士の方に一対一で相手をしていただけるなんて。本当にありがとうございました」
「ああ。またぜひ相手になってくれ」
グレンの笑顔を見ていると、自然に笑顔がこぼれてきた。何だろう。この青年は不思議な力を持っている。
クレサックは心地よい疲れを感じながら自室に戻った。
午後、謁見室で国王から新たな任務を命じられ、詳細を聞くためにエストルの執務室にいた。
「今、分かっている魔獣の情報はこんなものだ。何か質問はあるか?」
一通り説明を終えたエストルがクレサックに尋ねた。
「いえ。特にありません。ところで、エストル様」
クレサックが話を切り出す。
「今朝、久しぶりに上級兵士たちと手合わせしてきました」
「そうか。皆の腕は上がっていたか?」
「はい。皆、上達していました。ですが、一人見たことのない顔がいましてね。まだ上級兵士になって日が浅いと行っていましたが、やたらと強いのです」
エストルは興味を惹かれたらしく真剣な表情になった。
「一対一で手合わせしてみましたが、いい相手になりましたよ」
「何? 王騎士と互角で戦ったというのか?」
「はい。グレンという者なのですが、ご存じですか?」
エストルは一瞬驚いた表情をしたが、だんだん笑いが込み上げてきて、耐えきれなくなってにやりと微笑した。
「グレンか。ああ。よく知っている。士官学校で同期だった」
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