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「ただ周りにいた者たちがそう思っただけかもしれない。でも、私も少し、気になってはいる」
クレサックはそう言っていた。そして、そのセレストが自ら王騎士にするために連れてきたソード。
何度か考えたことがあった。セレストとソードとヴァンパイアに何らかの関係があるのではないかと。だが、その度に否定した。ヴァンパイアに支配されているなんて、ヴァンパイアの部下として働いているなんて考えるのは怖かった。信じたくなかった。
「敵は、僕をおびき寄せているんだと思う。心当たりがある。これは罠だ。だから」
グレンはソフィアを真っ直ぐに見つめた。
「きっと僕以外の人は結界に弾かれる。僕は一人で二階に突入することになる。ソフィアたちは今までどおり上で何か事態が変わって結界が解かれたときにすぐに突入できるように待機していて欲しい」
「罠だと知っていて、自ら飛び込んでいくの?」
ソフィアは呆れたような、しかしどこか優しい口調で言った。答えはもう知っていて諦めている。ただ送り出すしかない。
「分かったわ。ここは任せて」
「僕を、信じて」
突っ込んでみなければ分からない。だが、そうするしかエストルを解放する方法はない。それに今、ヴィリジアンがある。その力には未知なところだらけだが、試す価値のある手はいくらでもある。グレンは結界の前に立って言った。
「待たせたね、〈追跡者〉。グレンだ。道を開けて」
すると、城中に声が響き渡った。
「待ちくたびれたぞ。来い」
結界の一部が裂け、グレンは中に入った。結界はすぐに閉じて、元通りになった。
「頼んだわよ、グレン」
ソフィアは心の中で祈りながらつぶやいた。
グレンは迷わずエストルの執務室に向かった。〈追跡者〉の意図は分かっている。誰もいない廊下を真っ直ぐ歩いて執務室の扉の前で立ち止まる。
「どうぞ」
扉が勝手に開いた。
「エストル!」
部屋に入るなり、魔法陣に拘束されて衰弱しきっているエストルの姿を認め、駆け寄る。
次回更新予定日:2016/12/03
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クレサックはそう言っていた。そして、そのセレストが自ら王騎士にするために連れてきたソード。
何度か考えたことがあった。セレストとソードとヴァンパイアに何らかの関係があるのではないかと。だが、その度に否定した。ヴァンパイアに支配されているなんて、ヴァンパイアの部下として働いているなんて考えるのは怖かった。信じたくなかった。
「敵は、僕をおびき寄せているんだと思う。心当たりがある。これは罠だ。だから」
グレンはソフィアを真っ直ぐに見つめた。
「きっと僕以外の人は結界に弾かれる。僕は一人で二階に突入することになる。ソフィアたちは今までどおり上で何か事態が変わって結界が解かれたときにすぐに突入できるように待機していて欲しい」
「罠だと知っていて、自ら飛び込んでいくの?」
ソフィアは呆れたような、しかしどこか優しい口調で言った。答えはもう知っていて諦めている。ただ送り出すしかない。
「分かったわ。ここは任せて」
「僕を、信じて」
突っ込んでみなければ分からない。だが、そうするしかエストルを解放する方法はない。それに今、ヴィリジアンがある。その力には未知なところだらけだが、試す価値のある手はいくらでもある。グレンは結界の前に立って言った。
「待たせたね、〈追跡者〉。グレンだ。道を開けて」
すると、城中に声が響き渡った。
「待ちくたびれたぞ。来い」
結界の一部が裂け、グレンは中に入った。結界はすぐに閉じて、元通りになった。
「頼んだわよ、グレン」
ソフィアは心の中で祈りながらつぶやいた。
グレンは迷わずエストルの執務室に向かった。〈追跡者〉の意図は分かっている。誰もいない廊下を真っ直ぐ歩いて執務室の扉の前で立ち止まる。
「どうぞ」
扉が勝手に開いた。
「エストル!」
部屋に入るなり、魔法陣に拘束されて衰弱しきっているエストルの姿を認め、駆け寄る。
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