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「ご苦労だった。グレン、お前には引き続きヴァンパイア討伐をしてもらう。次はミスグンドに行ってもらおう」
「陛下」
グレンがつらそうな表情を見せる前にソードが口を開いた。
「その任務、私にお任せいただけませんか?」
セレストはソードを見た。ソードは恭しく頭を下げたままだ。
「いいだろう。では、グレンにはサルニアに現れたという魔獣の討伐を命ずる」
「はっ」
「ソフィアはアボットの墓地にいるゾンビを倒してきてもらいたい」
「はっ」
「以上だ。今日はよく休め」
三人は深く頭を下げて、セレストとエストルの後ろ姿を見送った。扉が閉まると、三人は反対側の扉から退室した。
「久しぶりね、こうやって三人揃うのも」
ソフィアが目を細める。微笑む顔も大人の女性の顔だ。美人だが、とても手を出せないとグレンは思う。
「ミルルでいいお酒を手に入れたの。みんなで飲まない?」
「そうだね。積もる話もあるだろうし。ソードもいいだろ?」
「ああ」
酒がいちばん好きなのはソードのはずなのだが、ソードは無表情だ。今日に限ったことではなく、常に無表情で、冷淡な印象さえ与える。グレンも最初は近寄りがたい存在だと思った。あまり人を寄せつけない雰囲気をもっているが、だからといってつき合いを拒むわけでもない。口数は概して少ない。三人の中では最年長だが、王騎士になったのはソフィアの方が早いので、どちらかというとソフィアの方がまとめ役である。ソードが無口なせいもある。何事にも無関心を装い、そっけなく振る舞うせいもある。ソードなりに自分より古参のソフィアに気を遣っているつもりなのかもしれない。ソフィアも年上のソードにはそれなりに気を遣っているようだが。
「私の部屋でいいわね」
さばさばとした口調でソフィアが言う。
「どうぞ」
扉を開けると、ソフィアは客を招き入れた。テーブルには簡素だが白いテーブルクロスがかけられていて、すでにグラスが三つ、そして真ん中に美しい緑の瓶が置いてある。
次回更新予定日:2015/06/13
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「陛下」
グレンがつらそうな表情を見せる前にソードが口を開いた。
「その任務、私にお任せいただけませんか?」
セレストはソードを見た。ソードは恭しく頭を下げたままだ。
「いいだろう。では、グレンにはサルニアに現れたという魔獣の討伐を命ずる」
「はっ」
「ソフィアはアボットの墓地にいるゾンビを倒してきてもらいたい」
「はっ」
「以上だ。今日はよく休め」
三人は深く頭を下げて、セレストとエストルの後ろ姿を見送った。扉が閉まると、三人は反対側の扉から退室した。
「久しぶりね、こうやって三人揃うのも」
ソフィアが目を細める。微笑む顔も大人の女性の顔だ。美人だが、とても手を出せないとグレンは思う。
「ミルルでいいお酒を手に入れたの。みんなで飲まない?」
「そうだね。積もる話もあるだろうし。ソードもいいだろ?」
「ああ」
酒がいちばん好きなのはソードのはずなのだが、ソードは無表情だ。今日に限ったことではなく、常に無表情で、冷淡な印象さえ与える。グレンも最初は近寄りがたい存在だと思った。あまり人を寄せつけない雰囲気をもっているが、だからといってつき合いを拒むわけでもない。口数は概して少ない。三人の中では最年長だが、王騎士になったのはソフィアの方が早いので、どちらかというとソフィアの方がまとめ役である。ソードが無口なせいもある。何事にも無関心を装い、そっけなく振る舞うせいもある。ソードなりに自分より古参のソフィアに気を遣っているつもりなのかもしれない。ソフィアも年上のソードにはそれなりに気を遣っているようだが。
「私の部屋でいいわね」
さばさばとした口調でソフィアが言う。
「どうぞ」
扉を開けると、ソフィアは客を招き入れた。テーブルには簡素だが白いテーブルクロスがかけられていて、すでにグラスが三つ、そして真ん中に美しい緑の瓶が置いてある。
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