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グレンはセレストと直接話をしたことがないが、エストルから常々話を聞かされていた。非常に暖かい、優しい心の持ち主だった。一度偶然すれ違ったことがあるが、その慈悲に満ちた眼差しは忘れられない。その王太子がそのようなことをするはずが。
「そんなことばかりなんだ。先日狩りから帰ってこられてからおかしいんだ」
「狩りに行ったときに何かあったの?」
「私もそう思ってそのとき護衛の担当だった兵士たちに聞いてみたのだが、よく分からないんだ」
「何か変わったこととかなかったの?」
「女の子が迷子になっていて、その子を森の外まで送った以外は」
「女の子?」
「ああ。怪しいか?」
「分からない。でも、その子が何か知っているかもしれない」
「しかし、その子がどこの子か分からない」
「そうか」
二人は肩を落とした。
真相はいまだに分からないが、あの日を境に国王は変わってしまったらしい。それまで持っていた優しい心が、どこかに消えてしまった。
「ヴァンパイア討伐に平気な顔をしてお前たちを派遣するのも、そのせいだと思っているのか?」
「だって、ヴァンパイアって元は生きた人間なんだよ」
「だが、放置しておくわけにもいかないだろう」
悔しそうにエストルが言う。冷静なエストルが取り乱すなんて珍しい。他の人が見たらさぞかし驚くだろう。
「お前だけじゃないんだ。皆何とかしたいって思っている」
「ごめん」
「いや。いい。お前のせいではない。報告を、聞こう」
グレンはコーヒーを一口飲み込んで、報告を始めた。
次回更新予定日:2015/05/23
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「そんなことばかりなんだ。先日狩りから帰ってこられてからおかしいんだ」
「狩りに行ったときに何かあったの?」
「私もそう思ってそのとき護衛の担当だった兵士たちに聞いてみたのだが、よく分からないんだ」
「何か変わったこととかなかったの?」
「女の子が迷子になっていて、その子を森の外まで送った以外は」
「女の子?」
「ああ。怪しいか?」
「分からない。でも、その子が何か知っているかもしれない」
「しかし、その子がどこの子か分からない」
「そうか」
二人は肩を落とした。
真相はいまだに分からないが、あの日を境に国王は変わってしまったらしい。それまで持っていた優しい心が、どこかに消えてしまった。
「ヴァンパイア討伐に平気な顔をしてお前たちを派遣するのも、そのせいだと思っているのか?」
「だって、ヴァンパイアって元は生きた人間なんだよ」
「だが、放置しておくわけにもいかないだろう」
悔しそうにエストルが言う。冷静なエストルが取り乱すなんて珍しい。他の人が見たらさぞかし驚くだろう。
「お前だけじゃないんだ。皆何とかしたいって思っている」
「ごめん」
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