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始まりの合図と共にキリトが飛びかかる。カミッロが滑らかに突き出した剣に弾かれると、すぐに次の一撃を繰り出す。互いに様子を探りながら対応する。少し二人のやりとりを見ていると、キリトが重い一撃を仕掛けてきた。カミッロはバランスを崩した。倒れないように後ろにジャンプして移動し、助走をつけて反撃を試みる。キリトが交わして再び剣がぶつかると、また拮抗した状態になった。二人とも息が上がり始めたところでカミッロが隙を衝き、絶妙な角度でキリトの剣を弾きにきた。
勝負あったな。
次の瞬間、完全にバランスを崩して柔らかな芝生の上に倒れ込んでいるキリトの姿があった。
「上達したな」
手を差し伸べながらカミッロが微笑む。
「やっぱり先生強いなあ」
悔しそうな表情を浮かべながらキリトがカミッロの手を取った。
「驚いたよ。外務室でデスクワークばかりしていたと思っていたのに」
「できるだけ鍛錬はするようにしていますよ。スイにつき合ってもらうこともありますし。あと一時期妹の練習にだいぶつき合わされました」
「エミリだな。実技の特別講義で手合わせさせてもらったが、なかなかの逸材だな」
「本当ですか?」
キリトが驚く。
「スイには及ばないが、今まで見てきた中でも五本の指には入る」
上達は早いとは思っていたが、あいつそんなに才能あるのか、とキリトがスイに目で訊ねる。スイはいたずらっぽい笑みで返して肯定した。
「なるほど。上達するわけだ」
かつての教え子を満足げな微笑みを浮かべながら見つめる。予想以上に立派に育ってくれたものだ。頼もしい。
「さて、お相手願おうか」
カミッロはスイの方に向き直る。
「お願いします」
スイはすっと立ち上がって始めの位置についた。まだカミッロには負けたことはない。
目で互いに始めのタイミングを確認すると、すぐに二人とも攻めの姿勢に入った。高く隙渡った金属音がこれでもかというスピードで連続して響く。芯のあるきれいな音だとキリトは思った。
思い出した。
初めて講義で二人の手合わせを見たとき、二人の身のこなしに感動した。こんなに美しい動きができるのだと。そして、本当にうまい人同士で剣を交えると、音も周りの空気までも一変させてしまうのだと。そんな不思議な感覚に捕らわれたのだ。
次回更新予定日:2020/09/05
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勝負あったな。
次の瞬間、完全にバランスを崩して柔らかな芝生の上に倒れ込んでいるキリトの姿があった。
「上達したな」
手を差し伸べながらカミッロが微笑む。
「やっぱり先生強いなあ」
悔しそうな表情を浮かべながらキリトがカミッロの手を取った。
「驚いたよ。外務室でデスクワークばかりしていたと思っていたのに」
「できるだけ鍛錬はするようにしていますよ。スイにつき合ってもらうこともありますし。あと一時期妹の練習にだいぶつき合わされました」
「エミリだな。実技の特別講義で手合わせさせてもらったが、なかなかの逸材だな」
「本当ですか?」
キリトが驚く。
「スイには及ばないが、今まで見てきた中でも五本の指には入る」
上達は早いとは思っていたが、あいつそんなに才能あるのか、とキリトがスイに目で訊ねる。スイはいたずらっぽい笑みで返して肯定した。
「なるほど。上達するわけだ」
かつての教え子を満足げな微笑みを浮かべながら見つめる。予想以上に立派に育ってくれたものだ。頼もしい。
「さて、お相手願おうか」
カミッロはスイの方に向き直る。
「お願いします」
スイはすっと立ち上がって始めの位置についた。まだカミッロには負けたことはない。
目で互いに始めのタイミングを確認すると、すぐに二人とも攻めの姿勢に入った。高く隙渡った金属音がこれでもかというスピードで連続して響く。芯のあるきれいな音だとキリトは思った。
思い出した。
初めて講義で二人の手合わせを見たとき、二人の身のこなしに感動した。こんなに美しい動きができるのだと。そして、本当にうまい人同士で剣を交えると、音も周りの空気までも一変させてしまうのだと。そんな不思議な感覚に捕らわれたのだ。
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