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「そんな技術が……」
「コピーって言っても〈器〉としての機能以外のところは不完全なところも多いらしいけど。だから、眠らせなくてもずっと眠った状態の個体が多いし、寿命が極端に短い個体もある」
目的の部屋の扉の前に立つ。
「おそらくこの扉の向こうは魔珠の製造室だと思う。〈器〉たちがいる部屋だよ」
緊張した面持ちでメノウは扉を見つめた。不意にスイの方を向くと、表情を崩した。
「何だかドキドキするね。どんなふうになっているんだろう」
開けるよ、とメノウの目が言った。スイが頷くと、メノウは先ほどと同じように手を扉にかざして開けた。室内は廊下と比べるとかなり暗かった。目が慣れる前に背後で扉が閉まったが、すぐに部屋が少し明るくなった。
「何これ」
驚きのあまり声も出なくなったスイの分までメノウが叫ぶ」
「そんな……そんな」
メノウがその場で呆然と前方を見つめながらくずおれる。スイも立ち尽くしたまま動けない。
広い部屋には十台ほどの生命維持装置らしきカプセルが設置されていた。そして、中には同じ顔が眠っている。スイと同じ顔が十体。
「なんで……」
そのとき、先ほど閉まった扉が開いた。二人はまたあっと声を上げる。スイと顔立ちが驚くほどよく似ている女性が入ってきたのだ。黒いローブをまとった女性は無表情だったが、話しかけてきたその落ち着きのある声はどこか優しげだった。
「ようこそ工房へ。私はコウと申します。この工房の責任者です。そして」
コウは少し悲しげな目で言った。
「スイ、あなたの母親です」
スイはただ驚きの表情を浮かべるだけで返す言葉が見つからないでいた。そんな息子の表情を見てコウは皮肉っぽく言った。
「そうよね。急にそんなこと言われても困るわよね。こんな見知らぬ人に」
「いえ」
スイははっきりと否定した。確信があった。
「あなたは……私の母親だと思います」
次回更新予定日:2020/06/13
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「コピーって言っても〈器〉としての機能以外のところは不完全なところも多いらしいけど。だから、眠らせなくてもずっと眠った状態の個体が多いし、寿命が極端に短い個体もある」
目的の部屋の扉の前に立つ。
「おそらくこの扉の向こうは魔珠の製造室だと思う。〈器〉たちがいる部屋だよ」
緊張した面持ちでメノウは扉を見つめた。不意にスイの方を向くと、表情を崩した。
「何だかドキドキするね。どんなふうになっているんだろう」
開けるよ、とメノウの目が言った。スイが頷くと、メノウは先ほどと同じように手を扉にかざして開けた。室内は廊下と比べるとかなり暗かった。目が慣れる前に背後で扉が閉まったが、すぐに部屋が少し明るくなった。
「何これ」
驚きのあまり声も出なくなったスイの分までメノウが叫ぶ」
「そんな……そんな」
メノウがその場で呆然と前方を見つめながらくずおれる。スイも立ち尽くしたまま動けない。
広い部屋には十台ほどの生命維持装置らしきカプセルが設置されていた。そして、中には同じ顔が眠っている。スイと同じ顔が十体。
「なんで……」
そのとき、先ほど閉まった扉が開いた。二人はまたあっと声を上げる。スイと顔立ちが驚くほどよく似ている女性が入ってきたのだ。黒いローブをまとった女性は無表情だったが、話しかけてきたその落ち着きのある声はどこか優しげだった。
「ようこそ工房へ。私はコウと申します。この工房の責任者です。そして」
コウは少し悲しげな目で言った。
「スイ、あなたの母親です」
スイはただ驚きの表情を浮かべるだけで返す言葉が見つからないでいた。そんな息子の表情を見てコウは皮肉っぽく言った。
「そうよね。急にそんなこと言われても困るわよね。こんな見知らぬ人に」
「いえ」
スイははっきりと否定した。確信があった。
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