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「待って」
すると、男はぴたりと歩みを止めて振り返った。
「グレンか」
ソードだった。左手にいつもとは違う剣が握られていた。
「ヴィリジアンが、見つかった」
グレンは驚きで言葉を失った。もう一度ソードの握っている剣を見た。青緑色の宝石が輝いている。
「この町のヴァンパイアは私が一掃しておいた。すぐに城に戻って陛下にヴィリジアンを……」
すると、倒れていたシャロンがグレンの足首をつかんだ。
「ヴィリジアンを、ソードに渡しては……」
グレンは振り向いた。屈んでシャロンの手を優しく握り、そっと地に下ろした。そして、ゆっくりと立ち上がると、震える声で聞いた。
「ソード、君はアウグスティンに行っていたはず。どうしてここにいるの?」
すると、ソードは余裕のある口調で淡々と答えた。
「ヴィリジアンがここにあると聞いた。だから、探しに来た」
ソードは表情一つ変えずにそのまま続けた。
「ヴィリジアンの捜索とその確保は陛下からのご命令。さあ、城に戻ろう」
「待って」
ソードが差し伸べた手をグレンは取らなかった。
「その剣を、シャロンに返して」
「陛下の命に背く気か?」
「ヴィリジアンはヴァンパイア化した人間を元に戻す力を持った剣。だけど、剣にはまった石と同じヴィリジアンの色の瞳を持った人にしか使えない。シャロンでないと使えないんだ」
すると、ソードが不敵な笑みをこぼした。
「分かっている。そんなことは」
「ソード?」
グレンはぞっとして聞き返す。なぜソードがここにいるのか。なぜここにヴィリジアンがあることを知っているのか。そして、なぜヴィリジアンの力を知っているのか。どうしても認めたくなくて否定してきたことをここで突きつけられ、認めざるを得なくなる。
「ソード、なんで知っているの……何もかも」
「陛下の忠実なる下僕だからだ」
動じることなくソードは答える。そして、グレンに問う。
「お前は陛下の騎士か、それとも、我々の敵か?」
次回更新予定日:2016/10/29
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すると、男はぴたりと歩みを止めて振り返った。
「グレンか」
ソードだった。左手にいつもとは違う剣が握られていた。
「ヴィリジアンが、見つかった」
グレンは驚きで言葉を失った。もう一度ソードの握っている剣を見た。青緑色の宝石が輝いている。
「この町のヴァンパイアは私が一掃しておいた。すぐに城に戻って陛下にヴィリジアンを……」
すると、倒れていたシャロンがグレンの足首をつかんだ。
「ヴィリジアンを、ソードに渡しては……」
グレンは振り向いた。屈んでシャロンの手を優しく握り、そっと地に下ろした。そして、ゆっくりと立ち上がると、震える声で聞いた。
「ソード、君はアウグスティンに行っていたはず。どうしてここにいるの?」
すると、ソードは余裕のある口調で淡々と答えた。
「ヴィリジアンがここにあると聞いた。だから、探しに来た」
ソードは表情一つ変えずにそのまま続けた。
「ヴィリジアンの捜索とその確保は陛下からのご命令。さあ、城に戻ろう」
「待って」
ソードが差し伸べた手をグレンは取らなかった。
「その剣を、シャロンに返して」
「陛下の命に背く気か?」
「ヴィリジアンはヴァンパイア化した人間を元に戻す力を持った剣。だけど、剣にはまった石と同じヴィリジアンの色の瞳を持った人にしか使えない。シャロンでないと使えないんだ」
すると、ソードが不敵な笑みをこぼした。
「分かっている。そんなことは」
「ソード?」
グレンはぞっとして聞き返す。なぜソードがここにいるのか。なぜここにヴィリジアンがあることを知っているのか。そして、なぜヴィリジアンの力を知っているのか。どうしても認めたくなくて否定してきたことをここで突きつけられ、認めざるを得なくなる。
「ソード、なんで知っているの……何もかも」
「陛下の忠実なる下僕だからだ」
動じることなくソードは答える。そして、グレンに問う。
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