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「ヴァンパイア化、しているな」
冷静に言い放つと、剣をエストルの心臓の真上に突き立てる。
「いやだ! やめて、ソード!」
グレンがソードを背後から雁字搦めにする。
「何を言っている。もうヴァンパイア化している。見て分かるだろう。それに」
ソードは言った。
「ソフィアを、殺したのだぞ」
ぐさりとその言葉がグレンの胸に突き刺さる。
「ごめん。僕が、やったんだ」
グレンは腕の力を緩めてソードを解放した。
「グレン?」
「僕が、吸血したから」
ソードは一旦剣を下ろした。
「これ以上犠牲は増やせない。分かるな、グレン」
「うん。分かってる」
グレンは涙を拭いて、腰の短剣を抜いた。
「だから、僕がやる」
一気にエストルの胸を貫いた。小さな悲鳴が上がって、エストルはすぐに息絶えた。
「いや……」
絶叫が木霊した。グレンはそのままぐったり頭を垂れた。
「面白い。実に面白い。それが今お前が最も恐れていることか」
「見えて、いたの?」
「人の思考や記憶を覗く魔術があるのはお前も知っているだろう。膨大な魔力が必要で、普通の人間にはなかなか使えないが」
潜在的に恐れていることを幻覚に具現化して見せられていたらしい。漠然とだが断片的に頭に浮かんだことのある光景ばかりだった。怖すぎてすぐに否定して思考から抹殺していたからこんなにリアルな形で目にするのは初めてだった。
「本当に、幻覚だったの?」
あまりにもリアルな感じがして、幻覚だった気がしない。精神的な消耗が激しい。
「そう。幻覚。すぐに現実にしてやるがな」
「何を、言って……」
「楽しみにしておくのだな」
ヴァンパイアはくくっと笑った。
「さて。これで二つ済んだな。最後のお楽しみだ」
「何、を……」
次回更新予定日:2016/02/20
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「いやだ! やめて、ソード!」
グレンがソードを背後から雁字搦めにする。
「何を言っている。もうヴァンパイア化している。見て分かるだろう。それに」
ソードは言った。
「ソフィアを、殺したのだぞ」
ぐさりとその言葉がグレンの胸に突き刺さる。
「ごめん。僕が、やったんだ」
グレンは腕の力を緩めてソードを解放した。
「グレン?」
「僕が、吸血したから」
ソードは一旦剣を下ろした。
「これ以上犠牲は増やせない。分かるな、グレン」
「うん。分かってる」
グレンは涙を拭いて、腰の短剣を抜いた。
「だから、僕がやる」
一気にエストルの胸を貫いた。小さな悲鳴が上がって、エストルはすぐに息絶えた。
「いや……」
絶叫が木霊した。グレンはそのままぐったり頭を垂れた。
「面白い。実に面白い。それが今お前が最も恐れていることか」
「見えて、いたの?」
「人の思考や記憶を覗く魔術があるのはお前も知っているだろう。膨大な魔力が必要で、普通の人間にはなかなか使えないが」
潜在的に恐れていることを幻覚に具現化して見せられていたらしい。漠然とだが断片的に頭に浮かんだことのある光景ばかりだった。怖すぎてすぐに否定して思考から抹殺していたからこんなにリアルな形で目にするのは初めてだった。
「本当に、幻覚だったの?」
あまりにもリアルな感じがして、幻覚だった気がしない。精神的な消耗が激しい。
「そう。幻覚。すぐに現実にしてやるがな」
「何を、言って……」
「楽しみにしておくのだな」
ヴァンパイアはくくっと笑った。
「さて。これで二つ済んだな。最後のお楽しみだ」
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