ヴィリジアン 第16章 海に浮かぶ橋(5) 答え 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「なんで……兄弟なのに戦わないといけないの?」
 ただただ悲しくなってグレンはつぶやく。だが、兄の方も弟の方もグレンを慰めてはくれなかった。刺さるような冷たい眼差しで一瞥すると、ウィンターは切り出した。
「言ったはずだ。強くなるには揺るぎない信念が必要だと。ソードは無口で心を通わせることのできるような友人もいなかった。そんな中でエルだけがソードになついていた。エルは誰にでも明るくて優しい子だった。ソードがエルが大好きだった。ヴァンパイアになった母がエルを襲おうとしたとき、何のためらいもなく母に魔法をぶつけるくらい」
「お母さんに……魔法を?」
 ヴァンパイアになった実の母。当時は元に戻す方法など知られていなかったから、もう母の姿をしたヴァンパイアでしかない。それでも一瞬の迷いもなく、母だった者を殺すことができるだろうか。グレンは自分にはとても無理だと思った。
「私はためらった。その結果、母がエルに噛みついて、エルは死んだ。
 ウィンターが静かにうつむく。すると、ソードは激しい怒りをあらわにした。
「もっと力があれば。エルは今も私たちを恨んでいるに違いない。私は強くなることでしかエルに償えない。ならば」
 ソードの目に狂気じみたものが浮かぶ。広げた左手には赤い光が現れて渦巻きながら巨大化していく。
「力を手に入れる! ヴァンパイアよりも誰よりも強い力を手に入れて、この世界の全ての存在からエルを守ってみせる」
 光をウィンター目がけてぶつけてくる。ウィンターも魔法を繰り出してぶつけていく。二つの光が接触して大きな爆音を立て、二人とも爆風に吹き飛ばされて体を強打した。
「エルは、もういない」
 唇の血をぬぐいながらウィンターがつぶやくと、ソードは激怒した。
「うるさい!」
 怒りに任せた光弾が飛んでくる。どの攻撃も威力は充分で、ウィンターの手足をかすめていったが、いつもの精彩を欠くとグレンは思った。いつもの冷静さがないからかもしれない。
 ウィンターは傷だらけになってその場にくずおれたが、腕を支えにしてゆっくりと体を起こして立ち上がった。
「やはり、お前はエルの死を受け入れることはできないのだな」
 ソードは答えなかった。ただ表情が一層険しくなっただけだった。
「そして、そのゲートに通じる道を譲る気もない。そうだな?」
 すると、ソードはわずかに嘲笑を浮かべた。
「道を譲る気はない。お前たちを倒して、私の力をエルに見てもらう」
「いいだろう。ならば、答えはこうだ!」
 ウィンターは傷の痛みで重くなった体にむち打ち、地を蹴った。宙に体を放り出すと、剣を大きく振りかざし、美しく伸びる青白い閃光をすっと一直線にソードに飛ばした。ソードも魔法を放ち、応戦した。

次回更新予定日:2018/04/14
 
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