ヴィリジアン 第16章 海に浮かぶ橋(1) ソード 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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扉を開くと、橋が続いていた。かなり向こうの方まで続いているのは分かったが、霧がかかっていてその先が見えない。
「ソードはあの先にいるのだろうか」
 横でウィンターがつぶやいたのを聞いてグレンは驚きの表情を浮かべる。静かな怒りがウィンターの言葉から感じ取られたような気がしたのだ。
「行くぞ」
 ウィンターに声をかけられて戸惑いで動けなくなっていた自分に気づく。
 何だろう。このウィンターから感じられる強い怒りは。
 ウィンターの半歩後ろを追っていく。周りの海はどんよりした空を映し、鉛色に染まっている。その色が余計に気を重くする。
 いた。
 こちらから姿が確認できたのとほぼ同時に黒い影が振り返る。距離が近づくに連れ、不敵な笑みがはっきりと見えてきて心をえぐられる。
「やはり突破してきたか」
 ソードが口を開くと、それに反応したようにグレンとウィンターが立ち止まる。互いにいつでも仕掛けられるいい距離だ。
「ソード」
 グレンはソードの目を見て静かに言った。
「一つだけ聞かせて」
 ソードは眉一つ動かさずグレンを見据えていた。グレンは続けた。
「ソードがムーンホルン侵略に手を染めたのは、テルウィング王に命じられたから? それとも、それは、君の意志でもあるの?」
「手を染めた、か」
 ソードは口元を吊り上げる。
「幾度ものムーンホルンとの戦争でテルウィングは荒廃した。立ち直れないほど荒廃したと聞く。何十年も経ってようやく復興の兆しが見え始めるかと思われた。だが、それは豊かな土地に恵まれた場所だけに許された特権だった。豊かなまちとそうでない町との格差はどうやっても埋められないほど広がっていて、各地で内乱が起きた。ヴァンパイアが投入され、テルウィングは全てを失った。もともとムーンホルンと違って資源の乏しい国だった。それが作物が満足に実る土地さえなくなった。何も持たない国が持っている可能性のある国を手中に収め、その富を我が物にする。テルウィング王はそう考えてムーンホルンに侵攻したのだろう。だが、そんなことは私にとってはどうでもいいことだ」
 ソードは冷ややかな目で言い放った。
「私は己の力を試したいだけだ」
「嘘だ!」
 グレンがすさまじい勢いで叫ぶ。

次回更新予定日:2018/03/17

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