ヴィリジアン 第14章 パイヤン(3) ひずみ 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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パイヤンの入口に来た。壁の門から見える町の様子はいたって普通だった。門からは大きな通りが続いていて、人はまばらではあるが、行き交っている。
「変わったところはないな」
 町に足を踏み入れ、両側に軒を連ねている露店と買い物をしている人たちを見回しながらエストルは述べた。以前訪れたときもこのような様子だったと思った。しかし、後ろを歩いていたルイは小声でつぶやいた。
「私は、何だか違和感があります」
「初めて来た場所なのに?」
 不思議そうにリンが聞く。すると、先ほどから緊張した面持ちのグレンが口を開いた。
「いや。そういうのじゃない」
 違和感を訴えたのがグレンとルイだったということにエストルとソフィアが強く反応する。二人は魔力に敏感だ。異様な魔力が辺りにかすかに漂っているということだ。
「失礼」
 野菜を売っている商人にエストルが声をかける。
「この辺りで最近変わったことはなかったか?」
「変わったこと? ないねえ」
「危ない!」
 商人が笑いながら答えている後ろで空間にひずみができたのをグレンは見逃さなかった。とっさにエストルをかばったが、ひずみは瞬く間に膨れ上がり、周りの景色を飲み込んだ。足場がなくなり、体が浮いたかと思うと、すぐに強い力で吹き飛ばされた。
 グレンは意識を失った。

 ぼうっと赤黒い空間が目に入る。どこかで見たことがある。
 グレンは見えない地面に手をつき、ゆっくりと体を起こした。辺りを見回す。体は地面にしっかりついているのに、そこに境界線が見えない。ただ赤黒く渦巻く歪んだ空間だけが広がる。モーレで〈追跡者〉と対峙したときのように。
「エストル?」
 遠くの方に倒れたまま動かなくなっている後ろ姿を見つけてグレンは走り出した。この空間に放り出されたときに背中を打ったようで少し痛みを感じたが、大したことはなかった。
 近くまで来て顔を確認すると、やはりエストルだった。意識はないようだったが、息はしていた。
「エストル、エストル」
 声をかけると、エストルはゆっくりと目を開けた。
「グレン?」
 上半身を起こしてやると、グレンは肩を貸しながら聞いた。
「立てる?」

次回更新予定日:2017/10/21

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