ヴィリジアン 第13章 魔術研究所(7) 魔力の抽出 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「優しい光だな」
「ああ。グレンの魔力だ」
 グレンの魔力の近くにいるだけで心地よい。温かい空気が漂い、自然に表情が和らぐ。
 グレンは穏やかな表情で少しずつ魔力を注ぎ込んでいった。ヴィリジアンになるべく負担をかけたくない。ゆっくりと魔力を吸収してもらいたい。
 しばらくすると、すうっと光が消えた。
「大丈夫か、グレン」
「うん」
 笑顔で返すが、その笑顔に力がない。予想どおり相当の魔力が必要だったらしく、疲れ切っている様子だ。
「あとはヴィリジアンが変換してくれた魔力を抽出して結晶化すればいいんだよね」
 すると、魔術に明るいウィンターが言った。
「あれだけの魔力を一度お前の体に蓄えないといけない。結構な負担がかかると思う」
「うん。分かってる」
 グレンは今度は両手をヴィリジアンの柄に載せた。すると、ヴィリジアンが淡い緑色に発光しだした。光は瞬く間にグレンの前身を包み込む。
「うあっ」
 グレンの叫び声と共に火花が散る。
「グレン!」
 一歩前に出そうになったエストルの手を捕まえて、ウィンターは後ろに下がる。
 グレンの重心が両手の方に移っていく。倒れそうになっている体を腕で支えている。それでもグレンはヴィリジアンを決して放さなかった。火花は散らなくなったが、グレンの呼吸は荒く不規則になり、時折呻き声が口から漏れる。それを見つめるエストルの顔からは血の気が引いていた。
 光が消えて、グレンが解放される。ぐらりと体が揺らいだ瞬間をエストルは素速く捕らえて受け止めた。そのまま座った姿勢になってもたれかからせると、グレンはゆっくりと右手を握った。すると、手から先ほどと同じ淡い緑色の美しい光があふれた。光はすぐに小さくなって消えた。グレンが手を開くと、てのひらに青緑色に輝く結晶が載っていた。
「成功だな」
 ウィンターが微笑むと、グレンはエストルにヴィリジアンの結晶を握らせた。
「よくやったな、グレン。少し休むといい」
 エストルは手を伸ばしてヴィリジアンの結晶を台に置いた。そして、グレンに方を貸そうと膝をついたそのときだった。グレンが急にエストルの手をすさまじい力で握ってきた。力尽きてあんな倒れ方をしたのにどこにこんな力が残っていたのだろうと思うような強い力だった。下を向いている。前髪で表情をうかがい知ることはできなかったが、歯を食い縛っているのが斜め後ろから分かった。

次回更新予定日:2017/08/19

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