ヴィリジアン 第12章 王のいない城(4) 新たな拠点 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「エストル様を、僕の手で葬らせるために」
 言葉にするだけで疲れがどっとあふれた。
「エストル様は僕にとって頼もしい上官だけど、それ以上に士官学校で共に学び、喜びや悲しみを分かち合ってきた大切な友人なんだ。僕だけを二階に招き入れたのはエストル様を僕を操って始末させ、大切な友人を手にかけた僕の反応を楽しむためだ」
 茫然自失としただろうか、狂っただろうか、泣きわめいただろうか。いずれにしても考えたくなかった。
「ヴィリジアンに助けられて何とか〈追跡者〉の呪縛を断った。そのまま〈追跡者〉と戦い、ヴィリジアンをカーマナイトのコアに突き刺すことに成功した。カーマナイトは砕け散り、〈追跡者〉は消滅した」
 ヴィリジアンの力。ヴァンパイアから人間を解放する唯一の力だ。
「私たちはすぐに陛下の部屋に向かった。陛下は謁見室にいらした。そして、隣には〈003 告知者〉が立っていた」
 エストルがグレンからバトンを引き継いで語り始める。
「陛下に〈告知者〉を引き渡すようにお願いした。だが、それを拒否し、〈告知者〉は陛下と共に消えた。どこかに空間転移したものと思われる」
「何ですって!」
 部隊長たちが驚きの声を上げる。
「おそらくテルウィングはどこか城ではない別の場所に拠点を移してムーンホルンをヴァンパイア化する計画を続けるつもりなのだろう。ヴァンパイアを増やし、適度にソードに討伐させる。陛下は操られている間は利用価値があるからそう簡単には手にかけないだろう。以上がヴァンパイアの真相と現状だ。何か質問がある者は?」
 エストルが問うたが、誰も口を開ける者はいなかった。あまりにも多くの情報を一気に詰め込まれてまだ頭が整理し切れていなかった。エストルは無理もないと苦笑した。
「気がついたことがあれば、いつでも教えて欲しい」
 そして、申し訳なく思いながらも話を次に進めた。
「それで、これからの対策だ。敵の新たな拠点を探し出して、ソフィアとグレンに突入してもらう。リネルから来てもらったクレサック、シャロン、ウィンターも協力してくれるそうだ」
「拠点を探し出すと言っても。やはり今まで通り地道に情報を集めるしかないのでしょうか?」
 ソフィアが不安そうに言う。
「それ以外に方法はない。だが、一つ、その前に確認しておきたいことがある」
 エストルがグレンの目を見た。グレンはうなずいて言った。
「パイヤン、ですね」
「そうだ。パイヤンがどうなっているのか見ておくべきだ。それに」
 エストルが鋭い目をする。

次回更新予定日:2017/05/27

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