ヴィリジアン 第12章 王のいない城(3) ヴィリジアンの意思 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「こざかしい」
 これでは相手が疲れるまで埒が明かないと感じたソードは、シャロンの素速い動きを魔力で封じようとした。広範囲に魔法を展開され、避けることはできなかった。シャロンはヴィリジアンで跳ね返そうと試みる。両手で柄を握り、何秒間かは耐えたが、圧倒的なソードの魔力にはそれが限界だった。衝撃で後方に押しやられたかと思うと、体が宙に浮き、がくんと四方から体にものすごい重力がのしかかる。シャロンは何とかして術の解除をしようと、魔力を全身から解き放ってみるが、ソードの呪縛はびくともしない。ソードは満足げに微笑すると、容赦ない渾身の一撃をシャロンにぶつけた。シャロンの体は吹っ飛ばされ、地に打ちつけられた。地面にひびが入るほどの衝撃だった。全身に痛みが走っていたが、まだ意識はある。シャロンは放してしまったヴィリジアンに手を伸ばして取ろうとした。体を少し前に引きずれば取れる距離だった。だが、体の感覚が全くつかめない。足には力が入らないし、左腕を支えにして体を前に出そうとしても腕にも力が入らない。目の前で冷笑をたたえたソードがヴィリジアンを拾い上げる。ソードはくるりと背を向けてその場から立ち去ろうとした。

「これが、ヴィリジアンだよ」
 グレンは鞘からヴィリジアンを抜いて前に掲げた。威厳のある、鋭い輝きを放つ銀の刃。そして、柄には神秘的な青緑色の光をたたえる宝石が埋め込まれている。
「ソードはヴィリジアンを破壊しようとしたけど、ヴィリジアンは自分の身を守るため、僕を使い手として選んでくれた。おかげで、協力して何とかソードの手から取り戻せた」
「不思議な剣だ。まるで意思を持っているかのような」
 エストルがつぶやいた。
「何か心が通じ合っているように感じるのです」
 グレンはヴィリジアンを見つめた。ヴィリジアンの輝きは静かな微笑みをたたえているようだった。
「シャロンに早く城に戻るように言われてヴィリジアンと急いで戻った」
「ソード将軍がスアに現れて、何か事態が急変したんじゃないかと思ったんです」
 シャロンはソードがテルウィング側の人間だということを知っていたから、すぐにスアに浄化に来ている情報が何らかの形で敵に渡っているのではないかと察した。
「〈追跡者〉は残忍な性格のヴァンパイアだ。人の心をもてあそんで楽しむ。僕もその標的になった。モーレで会ったときから恐ろしい幻覚を植えつけられ、それを実現させて僕を破滅させようとした。そのために、〈追跡者〉はエストル様を拘束したまま僕が来るのを待った」
 幻覚の映像が目の前にちらつき、心にずっしりとのしかかる。もう〈追跡者〉は倒したのに幻覚は亡霊のようにまとわりついている。

次回更新予定日:2017/05/20

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