ヴィリジアン 第11章 真相(12) 王騎士になった日 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「すごく面白いというか……実は最近クレサック将軍の任務についていってばかりで、その……」
「上級兵士の通常業務はよく分かりません、か?」
「いや。うん。そんなこともないんだけど」
 困惑した様子のグレンを見ていておかしくなったのか、エストルは笑い出した。
「で、どうだ、クレサック将軍の補佐は?」
 すると、グレンの緑色の瞳がぱっと明るくなった。
「今まで経験したことのないことばかりで。魔獣は今まで会ったことのないような強い魔獣だし、ヴァンパイアも噛みつかれたらおしまいだからすごい緊張感で。毎日学ぶことが多くて、すごく刺激的なんだ」
「そうか。それは良かった」
 エストルはグレンの話を聞いて嬉しそうな顔をして席を立った。
「実はな、グレン」
 書類が束ねて置いてある机の方に行くと、エストルは一枚の紙を手にして戻ってきた。
「今日はこれを渡そうと思って」
 目の前にその紙を置くと、グレンが目を通し始める前に言った。
「グレン、お前を今日づけでムーンホルン王国王騎士に任命する」
「は? 王騎士?」
 グレンは急いで紙に書かれている文字を読んだ。確かにグレンの名前だった。国王のサインもある。
「なんで?」
 王騎士は三人いる。これまでずっと三人だった。
「クレサックが引退したいと言っているんだ。そろそろ体力的にきついらしい」
「まだあんなに切れのいい動きをされるのに」
「あの状態を維持するために努力してきたが、それがもう限界なのだと言っていた。王騎士の任務はあの状態以上でなければ危険だ」
「そうなんだ……」
 厳しい現実を突きつけられてグレンは納得せざるを得なかった。
「とにかく」
 エストルはグレンの方に歩いてきて両手を握った。
「おめでとう。そして、紹介が遅れたが、私は宰相のエストルだ。任務の説明をしたり、報告を聞いたり、お前たちの任務の手伝いをさせてもらっている。グレン、これからは一緒に仕事をしていくことになる。よろしく」
「こちらこそ。また、よろしくね」
 エストルと仕事ができるということは嬉しかった。これほど頼もしい上司はいない。エストルがどれくらい優れた人物かということはよく知っている。士官学校で散々見てきた。
 グレンは笑顔を返しながら、エストルのしっかりとした手の感触を確かめた。

次回更新予定日:2017/04/29

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