ヴィリジアン 第11章 真相(4) 王との接触 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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当時から職務に就いていた部隊長たちがはっと顔を見合わせた。
「そう。噂で一度くらいは耳にしたことがあるだろう。その日から王太子殿下のご様子がおかしいと。お優しかった王太子殿下が人が変わられたようだと」
 吐き出すようにエストルは言った。平静を装おうと努めてはいるようだったが、怒りの感情が完全には抑え切れていなかった。
「〈告知者〉は陛下の優しさにつけ込んで陛下を操ろうとした。意のままに操り、ムーンホルンの征服に利用しようとした。そして、二年後、前国王が崩御されて陛下が即位された」
 セレストは動揺することもなく、淡々と葬儀と即位式を済ませた。テルウィングは機が熟したとばかりにセレストを動かし始めた。
「少し落ち着くと、陛下は歴代国王がしてきたように国内の主要都市を見て回られた。そのとき、テルウィングに通じるゲートのあるパイヤンにも訪れている」
「まさか」
 部隊長の一人が息を呑む。
「そう。陛下がゲートの封印を解かれたのはそのときだ。ヴァンパイアの出現情報が報告されるようになったのはその直後だ」
 確かにそのとおりだ。参加者たちは記憶をたどりながら確認をした。
「陛下はすぐに兵士たちに情報を集めさせた。そして、ヴァンパイアになった人間が他の人間を吸血し、吸血された人間をヴァンパイアにしてしまうことが報告されると、すぐに王騎士たちに討伐を命じられた。事実を知らない王騎士たちはヴァンパイアの被害を最小限に抑えるためと考え、陛下の命令に従った。それでも、ヴァンパイアの出現情報を絶やすことはできなかった。そんな中、当時王騎士だったクレサック将軍の前にゲートを通ってテルウィングからやってきたという人物が現れる。それがこのウィンターだ」
 エストルに紹介されると、ウィンターは立ち上がった。
「テルウィングから来たウィンターという者だ。テルウィングでヴァンパイア化していない人たちを町や村に集め、外部から不可視になる特殊なシールドを展開する活動を続けてきた。人々はシールド内では普通の生活が送れるが、その外に出ることはできない。ひとたびシールドの外に出れば、そこはヴァンパイアのさまよう世界だ。だが、ある村を訪れたとき、テルウィング王の下でヴァンパイアの開発に携わっていた学者に出会った。その学者から人をヴァンパイア化するカーマナイトの成分を中和することのできる魔力を持つ剣があるという話を聞いた。その剣でヴァンパイア化した人間を斬りつければ、ヴァンパイア化した人間は元に戻れると」
 少しざわついたが、すぐにそれを断ち切るようにウィンターは続けた。
「その剣はここムーンホルンにあると聞いて私は来た。その剣を、手に入れるために」
 ウィンターは真っ直ぐな瞳で一同を見た。すると、クレサックがウィンターの肩に手を載せて着席させた。

次回更新予定日:2017/03/04

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