ヴィリジアン 第10章 結界の向こう(8) 王と少女 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「陛下!」
 王騎士グレン。そして、その一歩後ろには宰相エストルが控えていた。エストルはセレストの横に少女がいるのを見て少し意外だったようだが、すぐに状況を理解し、ゆっくりと前に出た。
「陛下、その少女を我々に委ねていただきたいのですが」
「断る」
 即答だった。エストルの予想どおりだった。
「では、陛下を拘束させていただきます」
 エストルの言葉を聞いて、待っていたようにグレンが動き出そうとすると、少女がにやりと笑った。
「それは困るなあ」
 少女とセレストは一瞬にして消えた。阻止する時間もなかったが、阻止しようとも思わなかった。
「どこかに瞬間移動したみたいだね。良かったのかな?」
 グレンがエストルに聞いた。
「おそらく上級ヴァンパイアたちは今までどおり作戦を続けるつもりだと思う。私やお前、そしてソフィアを失ったが、拠点を変えてソードとヴァンパイア討伐を進め、ムーンホルンを壊滅させるつもりだろう」
 エストルは溜息をついた。
「あいつらはまだ陛下を利用するつもりだ。だが、利用されている間は、危害を加えられることはない。ここで無理やり操られている陛下を拘束して相手がどう出るかで頭を悩ませるよりもこの方がやりやすい」
「そうだよね。僕もそう思った」
 エストルも同じように考えていたと分かってグレンは安心した。そのとき、間隔の狭い足音が近づいてくるのに気づいた。
「エストル様!」
 ソフィアたちだった。今やっと結界が解けたということだろうか。ということは、結界を張っていたのは、〈追跡者〉ではなく、〈告知者〉だったということになる。
「ご無事でしたか。陛下は?」
 エストルが答えようとすると、グレンが先に口を開いた。
「エストル様、一度部屋に戻らせていただいてもよろしいでしょうか?」
 平静を装っていたが、エストルはすぐにグレンの異変に気づいた。
「分かった」
「後でまた来ます」
 グレンはそのまま謁見室を出て廊下を走っていった。

次回更新予定日:2017/01/14
 
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