ヴィリジアン 第10章 結界の向こう(3) 明かされる真実 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「グレン、か?」
 閉じていた目をうっすらと開け、エストルはつぶやいた。
「もうこやつの記憶は全て読ませてもらった。用済みだ。くれてやる」
〈追跡者〉はそう言うと、魔法陣からエストルを解放した。グレンは急に倒れてきたエストルの体を咄嗟に抱き留めた。
「すまない。全て知られてしまった。ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも」
 ヴィリジアンのことも、ウィンターたちのことも?
「待って。なんでエストルがそんなこと知ってるの?」
 訳が分からない。
「クレサックから全て打ち明けられた。私は、最初からクレサックやウィンターと組んでヴァンパイアを追っていた。お前を王騎士にする前から」
 驚きで言葉が出なかった。全然そんなふうに振る舞っていなかった。だが、今、思え返せば、確かにいちばんセレストやヴァンパイアの行動を疑っていたのは、他でもないエストルだった。
「ずっと宰相という立場を利用してヴァンパイアの出現情報やお前たちの派遣先の情報を流していた」
 だから、シャロンはヴァンパイア化した町に現れてヴァンパイアを浄化することができた。そして、行く先々で時折ウィンターが現れる。
「本当に、申し訳ない。私の力が至らなかったばかりに」
 いつも毅然としているエストルがそんなみじめな台詞を吐くのを見るのは心苦しかった。
「エストルは、よくやったよ」
 素直に思ったことを耳元で囁いた。自分がやったように、様々な痛みや幻覚と懸命に戦ったのだ。上級ヴァンパイア相手に。
「お前は、優しいな」
 エストルが安心したように目を閉じる。
「だいたい状況は飲み込めたか?」
〈追跡者〉は静かに漂っていた空気を引き裂くようにグレンに問うた。
「まだ聞きたいことは山ほどあるけど、大切なところは把握できたと思う」
 グレンの答えに〈追跡者〉は満足そうに微笑んだ。
「では、そろそろ私の戯れにつき合ってもらおうかな」
「させるか!」
 そう言ってもたれかかっていたエストルの体を自分から離して壁に寄りかからせようとしたとき、突然それが始まった。
「どうかしたのか、グレン?」
 意地の悪い冷笑をたたえて〈追跡者〉が尋ねる。欲望を振り払おうとグレンは大きく頭を振った。

次回更新予定日:2016/12/10

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