ヴィリジアン 第9章 スア(6) 空っぽの町 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「分かった」
 ルイも同じように体を支えるように立ち上がり、少しちぐはぐな姿勢で大広間の方に向かった。
 クレッチとデュランは大きくうなずき合って兵舎に向かった。
「考えることは同じだな」
 クレッチの部屋に着くと、いたずらっぽくデュランが笑う。
「外のヴァンパイアは陽動だったんだと思う。狙いは最初からエストル様だったんだ」
 クレッチが言いながら、部屋の床に魔法陣を浮かび上がらせた。エストルの私室に直接アクセスするための魔法陣だ。その中に足を踏み入れた途端、吹き飛ばされた。
「駄目か」
「俺の部屋からはどうだろう」
 こちらが失敗した以上、成功するとは思えなかったが、やれることはやってみるしかなかった。
 デュランの部屋でも魔法陣を展開し、その中に入ろうとしたが、やはり同じように弾き飛ばされた。
「万事休すだな」
「魔力を少しずつ送ることによって綻びが生じるかもしれない。城に戻ってみんなで結界に攻撃を加えてみよう」
 二人は城に戻って周りにいた兵士たちに指示を出した。

 そろそろスアに到着するはずだ。グレンは一歩一歩踏み出しながら考えた。
 シャロンが来てくれていたらいいのに。
 ヴァンパイア討伐などしたくない。人間だったはずのヴァンパイアを殺したくない。シャロンが一足先に来て町が元に戻っていてくれたらいいのに、グレンはそう願わずにはいられなかった。だが、空の色は重たい。空気がよどんでいる。
 町が見えてきた。活気というものが感じられない。何かが動いている気配がない。人はおろか、ヴァンパイアの気配さえない。
「変な、感じ」
 グレンは嫌な予感がして駆け出した。
 町の入口まで来ると、そこから大きな通りが真っ直ぐに延びていた。この町のメインストリートといったところか。少し先に二つの人影を確認した。一つは通りの真ん中にある。少しずつ離れていっているような気がする。向こう側に向かって歩いていっているのだろう。そして、もう一つは通りの真ん中に倒れているようだった。動かない。グレンは速度を落とさずにそちら目がけて走っていった。
「シャロン?」
 倒れているのがシャロンだと分かって、グレンは走り寄った。だが、すぐ先の後ろ姿にはっとする。見覚えのある後ろ姿。

次回更新予定日:2016/10/22

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