ヴィリジアン 第7章 ロソーの森(8) パトロール 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
Admin / Write
「お待たせしてしまって申し訳ございません、グレン将軍」
 ドアを開けると、デュランが息を切らしている。
「クレッチがいないんです」
「え?」
 約束を破るような人ではないのに。
「今日、クレッチは森の昼間のパトロールで、五時には夜間の人と交代するはずなんです」
 城の横には結構な広さの森がある。国王の所有地で、城の庭園とつながっていて、いちおう城の敷地内ということになっている。城で使用する木の実や薬草が収穫されたりもしているが、元々は国王や城の住人が狩りや散策を楽しむためのものである。
「門番に聞いてもまだ戻っていないって言うんです。何かあったんでしょうか?」
 パトロールで何か異変を見つけて対処しているのだろうか。ヴァンパイアが出現してから野生の動物の中にも、おそらくあのカーマナイトという鉱石が影響しているのだろうが、凶暴化し、非常に危険になっているものもいる。厄介な動物に出くわした可能性もある。
「行ってみようよ。何かに手こずっているんだろう。助けになるかもしれない」
「いいんですか?」
「一人で待っているのは退屈だからね」
 グレンは笑って剣を手にした。
「行こう」

 もう辺りはすっかり暗くなっていた。
「私が灯を点します」
 そう言うと、デュランが指先に小さな光の球を作り、宙に浮かべた。
「パトロールはそっち側から行くんだよね。逆から行った方が早く会えるかな」
「そうですね。その方が入れ違いにならなくていいかと」
 二人は左の道を選んだ。
「パトロールか。懐かしいなあ」
 柔らかい草の感触を確かめながらグレンは歩いた。王城の兵士たちは交代で森のパトロールを行う。だが、王騎士は城を空けることが多くなっているため、パトロールのシフトから外されている。だから、王騎士になってからはパトロールをすることがなくなった。
「ちゃんと道覚えているんですね」
 森の奥の方に来ても何の迷いもなく歩いて行くグレンを見て、デュランは言う。
「何回も歩いたからね。忘れられないよ」
 そのとき、何かに気がついてグレンが足を止めた。デュランも一瞬遅れてだが、足を止めた。耳を澄ましたが何も聞こえない。だが、確かに異様な空気が漂っている。
「この感じ」
 グレンの瞳に警戒の色が浮かぶ。

次回更新予定日:2016/05/21

ランキングに参加中です。よろしかったらポチッとお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 創作ファンタジーリンク
PR
この記事にコメントする
Name :
Title :
Mail :
URL :
Color :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment :
Password :
HOME | 65  64  63  62  61  60  59  58  57  56  55 

忍者ブログ [PR]