ヴィリジアン 第2章 サルニア(4) 異変 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「将軍、相手していただけませんか? 少しは強くなったか力試ししてみたいんです」
「そうだね。久しぶりに見せてもらおうかな」
 吸血された次の日、訓練場を通りかかると、稽古をしていた上級兵士たちに声をかけられた。何となく前日のもやもやがまだ取れていなかったため、気分転換にもなるかもしれないと軽い気持ちで引き受けた。
「来い!」
 剣を構えると、上級兵士たちが襲いかかってきた。すっと一振り剣を振るうと、宙を斬った風の力だけで全員が吹っ飛び、壁に打ちつけられた。グレンはびっくりして倒れた兵士たちの方に駆け寄った。
「おい、しっかりしろ!」
「う……将軍……」
 流血などはなかったが、壁に打ちつけられたときの衝撃は相当大きかったらしく、痛みのためなかなか立ち上がれない。
「ここか?」
 治癒魔法を使おうと手を当てると、いつもと比較にならないくらいの力が溢れてくる。
「えっ?」
 困惑して慌てて手を引っ込めると、もうすでに兵士はぴんぴんしている。ほんの一瞬だったはずなのに、もう治癒が完了している。
「将軍、何だか、前にも増して強くなられたような……」
「やっぱり、強い敵との実戦が続くと、強く、なるもんなんだなあ」
 渇いた笑いで何とかその場を切り抜け、急いでソードを探す。
 もうソードしか頼れる人がいない。
 そういえば――まさか、ソードのあの桁外れの強さは。
「ソード!」
 練習場、図書室、ソードのいそうなところに寄り道しながら城内を走る。やはりいない。
「ソード、グレンだ」
 ドアを勢いでかろうじてノックだけする。ソードは自室にいる時間が圧倒的に長い。無口で他人とあまり意識して接しようとしない。冷たく近寄りがたい空気を漂わせているため、部下たちもあまり干渉してこない。グレンとは対照的な王騎士だ。王騎士の三人だけでいるときもあまり口を利く方ではないが、一緒にいて不快だということはない。
「どうぞ」
 短い返事をするなり、グレンは部屋に飛び込む。バタンとドアの閉まる音で、ソードは読んでいた本から目を離し、わずかに顔を上げる。
「どうかしたのか?」
 静かな口調でソードは尋ねる。
「ソード、手合わせ頼む」
「今か?」
「そう。今すぐ」
 唐突な申し出だったが、ソードは不思議そうな顔はしなかった。黙って席を立ち、剣を取ってグレンの後をついていった。

次回更新予定日:2015/08/15

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