ヴィリジアン 第1章 ムーンホルン(8) 隠した牙 忍者ブログ
オリジナルファンタジー小説『ヴィリジアン』を連載しています。
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「さあ、久しぶりの再会に乾杯しましょ」
 二人を席に座らせると、手際よくグラスに酒を注ぎ、自分も席に着いた。
「乾杯」
 グレンが言うと、ソードは無言のままグラスを掲げた。
「いい酒だ」
 一口飲んでやっとソードが口を開く。
「そうでしょ」
 ソフィアが嬉しそうに微笑む。
「あの」
 グレンはテーブルに一旦グラスを置いてソードの方を見る。
「さっきはありがとう」
「構わない」
 すると、ソフィアが溜息をついた。
「グレン、あなたの気持ちはよく分かるけど、あまり陛下に楯突くとソードだってかばい立てできないわ」
「エストルにもそう言われた」
 ソードはヴァンパイア討伐を命じられても、眉一つ動かさずに引き受ける。完全に仕事だと割り切っているらしい。感情と理性の棲み分けがよくできているというか、理性が強靱なのだとグレンは思う。グレンも最初はあまり考えずに任務をこなしていた。だが、ある出来事で認識が変わった。それからはヴァンパイアをただの魔物だと考えられなくなっていた。
「いずれにしても、このままだとヴァンパイア化する村が増えるだけね。早く親玉を捕らえないと」
「そういえば最近情報が入らないね」
 上級ヴァンパイアと思われる目撃情報がこれまではちらほら入ってきていたのだが、ここ数ヶ月途絶えている。活動が鈍っているのだろうか。どこかに潜んでいるのだろうか。
「まあいいわ。堅い話はこのくらいにして、せっかくだからお酒を楽しみましょう」

 結局三人で食事もしてまた話し込んでいたら結構な時間になってしまった。
「ソード」
 ソードの部屋の前でグレンも立ち止まる。
「まだ飲み足りないのか?」
 うなずく代わりにグレンはソードを緑色の瞳でじっと見つめた。
「分かった。つき合おう」
 ソードが招き入れると、グレンは中に入った。扉が閉まるなり、グレンはソードの首筋に食いつく。首筋に刺さった牙から血の紅が細く滴れ落ちる。ソードは小さな呻き声上げただけで、グレンの体を支えながら静かにその行為が終わるのを待った。
「ごめんなさい。我慢……できなくて」
 顔を起こすと、グレンは慣れた手つきで傷口に手を当てる。暖かな光が溢れ、傷口は跡形もなく消えた。
「満足したか?」
「……うん」

次回更新予定日:2015/06/20

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